喜劇 駅前女将

映画『喜劇 駅前女将』について

『喜劇 駅前女将』は、1964年1月15日に東宝系で公開された、東京映画製作によるコメディ映画です。この作品は、人気シリーズ「駅前シリーズ」の第7作にあたり、監督が久松静児から佐伯幸三に交代した最初の作品でもあります。佐伯監督は、本作以降1967年公開の『喜劇 駅前満貫』まで、シリーズ12作品を手がけることになります。

本作の舞台は、両国駅と錦糸町駅周辺。シリーズ第1作『駅前旅館』以来、6年ぶりに東京が舞台となりました。タイトルが示す通り、本作では女優陣が中心となり、物語が展開されます。映画冒頭には錦糸町駅前の風景が映し出され、かつて都電錦糸堀車庫があった場所（現在の丸井錦糸町店がある場所）付近で撮影されたことがわかります。

両国が舞台であることから、佐田乃山（後の第50代横綱）、栃ノ海（同・第49代横綱）、栃光（当時・大関）、出羽錦（当時・前頭、後にタレントとしても活躍した田子ノ浦親方）といった、人気力士たちがゲスト出演している点も、本作の見どころの一つです。

映画に登場する主なロケ地としては、孫鮨は隅田川を渡った台東区柳橋に、足立藤子のバーと松島景子の店は都電錦糸堀車庫の裏手にある、「清昌稲荷大神」・「出世弁財天」付近に設定されています。

スタッフ

製作：佐藤一郎、金原文雄
脚本：長瀬喜伴
監督：佐伯幸三
撮影：黒田徳三
録音：長岡憲治
整音：西尾昇
照明：比留川大助
美術：狩野健
音楽：松井八郎
編集：広瀬千鶴
助監督：松本あきら
現像：東京現像所
協力：銚子民芸千鳥会
製作担当者：大久保欣四郎

出演者

森田徳之助：森繁久彌
伴野孫作：伴淳三郎
伴野次郎：フランキー堺
山本平助：三木のり平
大沢鶴吉：山茶花究
森田満子：森光子
足立藤子：淡路恵子
松島景子：淡島千景
伴野千代：京塚昌子
染太郎：池内淳子
宮本由美：大空真弓
山本京子：乙羽信子
菊太郎：沢村貞子
川口力造：加東大介
川口和男：峰健二
三枝：中尾ミエ
佐田乃山：佐田乃山
栃光：栃光
栃ノ海：栃ノ海
出羽錦：出羽錦

ロケ地

本作のロケ地は、主に以下の場所が使用されました。

国鉄（現JR）総武線の両国駅前及び錦糸町駅周辺。
「駅ビルきんし町」は、現在は「テルミナ」と名称を変更して現存。
東京楽天地は建て替えられ、現在は錦糸町PARCOとなっています。
都電錦糸堀車庫（現在の丸井錦糸町店がある場所）裏手にある「清昌稲荷大神」・「出世弁財天」、及び付近にある長屋形式の商店街。
商店街は建て替えられ「ニュー錦糸町ビル」となっていますが、当時の面影が残されています。
東京都台東区柳橋（孫鮨）

同時上映

本作は、成瀬巳喜男監督の『乱れる』と同時上映されました。成瀬作品とのカップリングは、この時が初めてでした。

『乱れる』
脚本：松山善三
監督：成瀬巳喜男
主演：高峰秀子

参考資料

「銀幕の天才 森繁久彌」（ワイズ出版） 71頁 2003年
キネマ旬報

外部リンク

喜劇 駅前女将 - allcinema
喜劇 駅前女将 - KINENOTE

もう一度検索