四川省のジャイアントパンダ保護区

四川省ジャイアントパンダ保護区

四川省ジャイアントパンダ保護区は、中国四川省に位置するユネスコの世界遺産（自然遺産）です。この地域は、絶滅危惧種であるジャイアントパンダの30%以上が生息し、繁殖が最も盛んな場所として知られています。総面積は9,245平方キロメートルに及び、邛崍山脈と夾金山脈に挟まれた7つの自然保護区と9つの自然公園で構成されています。

多様な生態系

この保護区は、ジャイアントパンダだけでなく、レッサーパンダ、ユキヒョウ、ウンピョウ、カラニジキジなど、他の絶滅危惧種の重要な保護地域でもあります。森林は植物学的に非常に豊かな生態系を保持しており、モクレン科、タケ類、ツツジ科、ラン科など、5,000～6,000種もの植物が生息しています。ハンカチノキ、シセンカラマツ、オニノヤガラといった珍しい種も含まれており、第三紀の熱帯雨林に類似した環境が保たれている点が特徴です。

構成

保護区は、以下の7つの自然保護区と9つの風景名勝区から構成されています。これらの地域は、成都市、雅安市、アバ・チベット族チャン族自治州、カンゼ・チベット族自治州に跨る12の県および県級市に位置しています。

自然保護区（7箇所）

臥竜自然保護区：ジャイアントパンダと森林生態系を保護。ユネスコの生物圏保護区にも登録。
蜂桶寨自然保護区：ジャイアントパンダと森林生態系を保護。
四姑娘山自然保護区：野生動物と森林生態系を保護。
喇叭河自然保護区：ジャイアントパンダやターキンなどの希少動物を保護。
黒水河自然保護区：ジャイアントパンダと森林生態系を保護。
金湯-孔玉自然保護区：希少動物と生態環境を保護。
草坡自然保護区：ジャイアントパンダと生態環境を保護。

風景名勝区（9箇所）

青城山-都江堰風景名勝区
天台山風景名勝区
四姑娘山風景名勝区
西嶺雪山風景名勝区
鶏冠山-九竜溝風景名勝区
夾金山風景名勝区
米亜羅風景名勝区
霊鷲山-大雪峰風景名勝区
二郎山風景名勝区

世界遺産登録

2006年7月12日、四川省ジャイアントパンダ保護区はユネスコの世界遺産に登録されました。しかし、2008年5月12日に発生した四川大地震では、多くの保護区が大きな被害を受け、特に臥竜自然保護区のある汶川県は震源地であったため、甚大な被害を受けました。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしています。

* (10)：生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいること。絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

四川省ジャイアントパンダ保護区は、ジャイアントパンダをはじめとする多くの動植物にとってかけがえのない生息地であり、その保護の重要性は非常に高いと言えます。

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