国民党 (南アフリカ)

国民党（南アフリカ共和国）とは

国民党（アフリカーンス語: Nasionale Party, NP、英語: National Party, NP）は、南アフリカ共和国にかつて存在した政党です。1948年から1994年までの間、与党としてアパルトヘイト政策を推進したことで知られています。

成立の背景

国民党は、ルイス・ボータ初代首相やヤン・スマッツ（後の首相）らが親英的、かつ黒人に対して融和的であるという批判の高まりの中、ジェームズ・バリー・ミューニック・ヘルツォークによってアフリカーナーのナショナリストを結集し、1914年に結成されました。アフリカーナーの農民や都市部の貧困層を主な支持基盤としていました。

1924年には、白人労働者の保護をスローガンに労働党と連合して総選挙に勝利し、政権を獲得しました。しかし、1934年に国民党とヤン・スマッツの南アフリカ党が合同し、統一党が結成されると、ダニエル・フランソワ・マランらはこの合併に強く反対し、同志と共に両党合併から離脱、純正国民党を結成しました。

アパルトヘイト政策の推進

統一党は第二次世界大戦に連合国側として参戦しましたが、アフリカーナー社会はこれに反対しました。また、国内政策も軽視していたことから支持を失い、1948年の総選挙では、マラン率いる国民党が、大戦後の民族運動の高揚を背景に白人の危機を訴え、第一党に躍進、政権を掌握しました。そして、アパルトヘイト政策（人種隔離政策）を本格的に推し進めることになります。

アパルトヘイトからの転換

1978年9月、ピーター・ウィレム・ボータ政権がアパルトヘイト緩和と改革路線を掲げて誕生すると、これに反発したアンドリース・トリューニヒトら一部強硬派は1982年に国民党を離党し、保守党を結成しました。ボータ政権は1986年には改革路線が破綻し、各地で反アパルトヘイト運動が高まりました。

1989年9月には、フレデリック・ウィレム・デクラーク政権が誕生し、人種間の歩み寄りとアパルトヘイト撤廃に向けた動きが始まりました。アパルトヘイト関連法の廃止、人種差別の法律の全廃を決定し、1994年4月には、全人種参加の総選挙で勝利したアフリカ民族会議（ANC）が与党となり、連立政権を樹立しましたが、1996年に解消しました。

その後

政権離脱後、ロエルフ・メイヤーを中心とするグループは、黒人にも支持を拡大するために新党結成を主張しましたが、党執行部は議員の政党移動の禁止を理由に結論を先送りしました。メイヤーらは国民党を離党し、統一民主運動（UDM）を結成しました。

デクラークは党首を辞任し、幹事長のシャルクウィクが後継党首に就任。翌1997年、新国民党（NNP）と名称を変更しイメージの転換を図ったものの、各種選挙で敗北し、野党第一党の座を民主党（後の民主同盟）に明け渡しました。

国民党は、南アフリカの歴史において、アパルトヘイトという負の遺産を残した一方で、その撤廃に向けて舵を切った政党でもありました。

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