国見温泉

国見温泉の魅力

国見温泉（くにみおんせん）は、岩手県岩手郡雫石町に位置する温泉地で、古くから「秘湯」として知られています。旧・陸奥国の境に近く、奥羽山脈の美しい自然に囲まれています。ここでの温泉は特にその独特の泉質と雄大なロケーションが多くの人々を惹きつけています。

泉質

この温泉の泉質は含硫黄炭酸水素塩泉です。鮮やかなエメラルドグリーンの色合いが印象的で、天候や日照により色が変わるのが特徴です。時にはレモン色や濃緑色に変わることもあります。これは、東邦大学による分析によれば、温泉中の炭酸カルシウムや硫黄の微細粒子がレイリー散乱を引き起こし、色が変わることによります。また、湯船には湯の花が舞っていますが、飲泉も可能ですが、その味は非常に苦味が強いことで有名です。

歴史

国見温泉の発見年代は明確ではありませんが、江戸時代中期以前に存在していたとされます。温泉の敷地内には薬師普賢の石仏があり、その年号は文化5年（1808年）に刻まれています。このことから、文化年間にはすでに温泉の名が広まっていたと考えられます。開湯当初は南部藩の湯治場として利用されており、文政9年（1826年）の記録では「一度浴すれば百病治る」と伝えられ、旧暦の4月中旬から7月下旬まで多くの湯治客が訪れていました。

温泉の湯は、天候によって色が変わるのが特徴で、晴れた日には白、昼には黄色、夕方には藍色に変わることがあります。さらに、雨の日には黒く染まると言われており、そのための利用者は注意が必要とされることもあります。この温泉は女性や魚に良い効能があるとされる一方で、鳥類には避けられるとも言われています。

温泉地の環境

国見温泉は、標高850メートルの山中に位置しており、十和田八幡平国立公園に属しています。旅館としては「森山荘」と「石塚旅館」の2軒があり、どちらも自炊部が設けられる湯治場です。地元の雫石町が運営している「国見山荘」という宿泊・日帰り入浴施設も存在し、これがまた多くの訪問者に重宝されています。また、秋田駒ヶ岳の登山口にも近く、登山客にも利用されています。

アクセス

国見温泉へは、車でのアクセスも便利です。東北自動車道の盛岡ICから国道46号を経由し、岩手県道266号国見温泉線を利用すれば約50分です。公共交通機関を利用する場合は、JR東日本の秋田新幹線が通る雫石駅からタクシーで約20分、田沢湖線の赤渕駅からは約10分です。ただし、路線バスの運行はないため、タクシー利用が主になります。宿泊者には条件付きで送迎のサービスを行う旅館もあります。

まとめ

国見温泉は、その美しい自然環境と独特の泉質、魅力ある歴史によって、多くの人々に愛され続けています。温泉の変化する色合いと豊かな効能は、一度経験してみる価値があるでしょう。訪れる際には、温泉だけでなく、山々の景観や周囲の自然も楽しむことができます。

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