国鉄DB10形ディーゼル機関車

DB10形ディーゼル機関車

概要

DB10形ディーゼル機関車は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が設計したディーゼル機関車の一形式です。1932年に製造され、主に軽入換作業に使用されていました。この機関車は、第二次世界大戦後の厳しい鉄道運営環境を受けて製造が決定され、鉄道の合理化を目指す中で生まれた初の純国産のディーゼル機関車です。

製造の背景

第一次世界大戦後、世界的な経済不況が進む中、鉄道業界でも効率的な運営が求められるようになりました。このような状況を受けて、従来の蒸気機関車からディーゼル機関車への転換が進められ、人件費や燃料費の削減を図ることが計画されました。DB10形は、その計画の一環として、国内で設計・製造された初のディーゼル機関車です。

機構と技術

本機関車は、池貝製作所および神戸製鋼所が製造した直列4気筒のディーゼルエンジンを搭載しており、出力は50 ps（馬力）で、エンジン回転数は1,000 rpmです。動力伝達は4段変速機を利用し、床下の逆転器を経て出力がスプロケットに伝達され、ローラーチェーンを通じて片軸を駆動します。また、もう1軸は車輪外のロッドを連動させることによって駆動されます。さらに、ブレーキ装置にはドラム式が採用されており、従来の踏面シュー方式とは異なるアプローチがされています。

製造の詳細

DB10形は1932年、8両が製造されました。その製造時期は3月から4月と考えられています。これらの機関車は各鉄道局に新製配置され、特に鷹取機関区、国府津機関区、高崎機関区などに配備されました。これにより、全国各地で軽入換作業を担う役目を果たしました。

運用と廃車

DB10形は、各地の鉄道局に分散配置されましたが、1938年には運用状況が厳しくなり、次第に休車が増えていきました。特に1943年以降は戦時体制の影響も受け、多くの機関車が運用を停止しました。戦時中に運用されていたDB10 1やDB10 5など数両は、入換作業に従事していましたが、やがてほとんどの機関車が休車や廃車となり、1948年には全てが非稼働に至りました。

戦後の動向

戦後、一部のDB10形は機関換装などを行い、門司港駅で貨車移動機として再利用されることになりました。これらの機関車のうち1両は近い将来に廃車となりましたが、残りの1両は北九州資材センターが閉鎖される1980年代後半まで使用されました。この機関車は、最終的には解体されてしまい、形状が大きく変わり、元の姿が失われていきました。

その他の使用

DB10形は米原機関区でも構内での車両移動用に使用されており、この過程でボンネットが撤去され、タンクが追加されるなど大きな改造が施されました。その結果、圧縮空気で駆動する無火機関車として再設計され、当初の形とは異なる運用が行われていました。

結論

DB10形ディーゼル機関車は、日本の鉄道史における重要な一歩であり、当時の技術や運用の変化を象徴する存在です。その製造背景や運用状況、戦後の変遷を振り返ることで、鉄道の歴史を知る貴重な手がかりとなります。

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