国際VHF

国際VHF（国際VHF）とは

国際VHFは、船舶間の通信を実現するために開発された無線通信システムで、全世界で利用されています。一般的には「マリンバンド」とも呼ばれ、英語では「marine VHF band」と表現されます。このシステムは、沿岸海域での入出港の連絡、船位の通報、航行に関する安全、遭難時の通信、さらには外洋における船舶相互間の連絡に使われます。日本では、2009年に総務省が「船舶共通通信システム」として整備しており、法令で定義された用語ではありませんが、実質的に多くの船舶にとって重要な通信手段となっています。

概要

日本国内における国際VHFは、1964年に法制化され、150MHz帯のFM方式で運用されています。通信には、海岸局で最大50W、船舶局で最大25W、船上通信局で最大1Wの空中線電力が使用されます。また、「海上における人命の安全のための国際条約」（SOLAS条約）において、国際航海を行う旅客船や総トン数300トン以上の商船に対して、デジタル選択呼出装置（DSC）の設置が義務付けられています。DSCは特定の無線局との通信チャンネルを自動的に設定する装置で、ボタン一つで遭難警報を発信することもできます。

日本の船舶は、総務省令による型式検定を受けた機器を使用する必要があります。呼出頻度はch16であり、このチャンネルで通信相手を呼び出し、船舶同士の通信や港務通信、海外向けの通信も可能です。たとえば、船舶同士の通信ではch06、海岸局との通信はch20に移動します。一般的に移動するチャンネルが使用中である場合、次に優先されるチャンネルへと移行します。

操作と資格

国際VHFの使用には、無線通信士や特殊無線技士などの無線従事者による操作が求められます。また、必要な種別の無線局の免許を取得し、免許状を交付される必要があります。特に、第三級総合無線通信士や第四級海上無線通信士は国際通信を行うことができないため、操作資格が制限されています。

マリンVHF

1991年にレジャーやスポーツ用のために法制化されたマリンVHFは、18チャンネルを割り当てられ、呼出周波数はch77です。このシステムの導入は、なだしお事件を契機に漁業無線などが設置されていない船舶のために日本独自に整備されました。しかし、マリンVHF機器の選択肢が限られており、機能と価格の面から普及が進まない課題も抱えています。

船舶共通通信システムの整備

2008年のイージス艦衝突事故以降、通信システムの共通化が求められるようになり、総務省は改善策を検討しました。2009年には、100トン未満の船舶への国際VHFの普及を図る報告が発表され、その後関連省令が改正されました。これにより、マリンVHF機器に対するATIS機能の強制が撤廃され、簡素な機器の導入が促進されることとなりました。

近年では、国内メーカーが水に浮く携帯型国際VHF無線機を販売しており、手軽に通信環境を整えることが可能となっています。しかし、無線従事者の資格が必要であるため、導入に際しての経費や手間を考慮する必要があります。こうした状況を受け、規制の緩和や新しい通信手段の導入が求められています。

終わりに

国際VHFは船舶の運航に欠かせない通信手段として、多くの利用者が存在しますが、取り扱いや利用規則に関する理解は重要です。無線通信のルールを守りつつ、安全かつ効率的な通信のための環境を整備することが求められています。

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