坂本百大

坂本百大：哲学への多大な貢献

坂本百大（1928年3月15日 - 2020年12月17日）は、日本の哲学者として、科学哲学、記号論理学、記号学、生命倫理、心の哲学など、幅広い分野で顕著な業績を残しました。特に、心身問題への独自の解答として提唱した『原一元論』は、彼の哲学における重要な柱となっています。

1928年、台湾で生まれ、東京で育ちました。第一高等学校、東京大学と進学し、その後は、ジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学ロサンジェルス校、カリフォルニア大学バークレー校といった海外の一流大学院で研鑽を積みました。この多様な学習経験が、坂本氏の幅広い学問的視野を形成したと言えるでしょう。

帰国後、東京薬科大学、駒澤大学を経て、1972年からは青山学院大学経済学部教授として教鞭を執りました。1994年に青山学院大学を退職し名誉教授となった後も、日本大学文理学部教授として教育・研究活動を続けました。さらに、シカゴ大学、プリンストン大学、ウィーン大学などでも客員研究員として活躍し、1991年には放送大学客員教授も務めました。

坂本氏の研究活動は、単なる学問的探求にとどまりませんでした。多くの著書や共編著を通じて、自身の研究成果を広く社会に発信し続けました。代表的な著作には、『人間機械論の哲学 心身問題と自由のゆくえ』『心と身体 原一元論の構図』『言語起源論の新展開』などがあります。これらの著作は、哲学の専門家だけでなく、一般読者にとっても理解しやすいように、平易な言葉で書かれており、高い評価を得ています。

また、翻訳活動にも精力的に取り組みました。ジョン・L・オースティン、ギルバート・ライル、ジョン・サールといった著名な哲学者たちの著作を日本語に翻訳し、日本の哲学界に多大な貢献をしました。これらの翻訳は、日本の哲学研究に大きな影響を与え、現代哲学の理解を深める上で重要な役割を果たしました。

坂本百大氏は、単なる知識の伝達者ではなく、自ら考え、自ら問い、自ら答えを模索する真の哲学者でした。彼の思想は、現代社会における様々な問題を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。彼の功績は、今後も日本の哲学界に大きな影響を与え続けることでしょう。

主な著書・翻訳

著書
『人間機械論の哲学 心身問題と自由のゆくえ』（勁草書房）
『心と身体 原一元論の構図』（岩波書店）
『言語起源論の新展開』（大修館書店）
『哲学的人間学』（放送大学）
共編著
『現代論理学』（坂井秀寿共著、東海大学出版会）
『思考とは何か 数学・物理学・工学・行動科学・心理学・哲学の側面から』（山内恭彦・梅岡義貴共編、ダイヤモンド社）
『ことばの哲学』（編著、学文社、現代哲学選書）
その他多数
翻訳
『オートメーションと現代』（The Voice of America 編、吉村融共訳編、誠信書房）
『現代の科学哲学』（Voice of America 編、大出晁共監訳、誠信書房）
『言語と行為』（ジョン・L・オースティン、大修館書店）
* その他多数

2020年12月17日、誤嚥性肺炎のため92歳で逝去されましたが、彼の残した著作と思想は、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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