堂ヶ島天窓洞

堂ヶ島天窓洞

堂ヶ島天窓洞（どうがしまてんそうどう）は静岡県賀茂郡西伊豆町仁科に位置する、自然が生み出した美しい海蝕洞です。国の天然記念物にも指定され、多くの観光客が訪れるこのスポットは、特に洞窟内部に開いた大きな穴が特徴的で、遊覧船からはまさに天窓を眺めるような体験ができます。これは過去の陥没や崩落によって形成されたもので、直径は10数メートルに達します。

堂ヶ島地区は、駿河湾に面しており、伊豆半島のほぼ中央に位置しています。ここには天窓洞を含む美しい海岸線が広がっていて、これらの地域は国の名勝にも指定されています。堂ヶ島天窓洞は、1935年（昭和10年）に国の天然記念物としての指定を受けており、その後、2011年に設立された伊豆半島ジオパークにもリストアップされています。

地質と内部構造

堂ヶ島天窓洞は、新第三紀中新世に形成された石英安山岩質の凝灰岩（白色砂質凝灰岩）から構成されています。この種類の岩は波の浸食を受けやすく、堂ヶ島周辺には数々の海蝕洞や小さな入り江、独特なトンボロ現象を生み出す陸繋砂州が点在しています。洞窟自体は非常に複雑で、3つの洞口（南口、西口、東口）がありますが、これらは内部で横穴を通じてつながっており、総延長は395メートル、面積は9,800平方メートルに及びます。

特に南口は波が穏やかな日には遊覧船が入り込むことができる広さを持ちます。天窓が設けられている場所では、光が差し込むことで洞内のエメラルドグリーンの水面が幻想的に輝き、観光客に感動を与えます。この天窓はおおよそ縦横18×13メートルの大きさを持ち、周囲には遊歩道が設置され、上から覗き込むことも可能です。波が穏やかな日には遊覧船の姿を見ることもできます。

歴史と伝説

堂ヶ島天窓洞には、源頼朝にまつわる伝説があります。西口から洞内に入ると暗い部分があり、そこに「頼朝穴」と呼ばれる支洞が存在します。伝説によれば、源頼朝が追手から逃れる際、この洞窟に隠れ、蜘蛛が入り口に巣を張ることで追手の目をごまかしました。さらに、頼朝はこの支洞に密書を投げ入れたとも言われています。この伝説は地元の人々に長く語り継がれています。

与謝野鉄幹・晶子の歌碑

天窓洞の近くには、与謝野鉄幹と晶子の歌碑が設置されています。この歌碑は夫婦が堂ヶ島を訪れた際に詠んだ詩を記念しており、彼らの最後の旅の思い出として残されています。

交通アクセス

堂ヶ島天窓洞は、静岡県賀茂郡西伊豆町仁科に位置します。アクセスは伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺駅から東海バス松崎行きで約70分、または伊豆急行線の伊豆急下田駅から東海バス堂ヶ島行きで約60分の距離です。堂ヶ島バス停下車後、徒歩約1分ほどで到着します。自然の美しさと歴史が融合した堂ヶ島天窓洞は、訪れる価値のあるスポットです。

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