塚原昌義

塚原昌義（武田昌次）：激動の時代を駆け抜けた旗本の生涯

塚原昌義、または武田昌次（1825年 - 1888年）は、幕末から明治にかけて活躍した人物です。旗本という身分から、遣米使節への参加、外国奉行、外国総奉行といった要職を歴任し、明治維新後は政府官僚として新たな時代を築きました。彼の生涯は、まさに激動の時代を象徴しています。

生い立ちと幕府での活躍

文政8年（1825年）、450石の旗本、塚原昌常の四男として江戸牛込に生まれた塚原昌義は、嘉永6年（1853年）に学問吟味に合格し、その才能を開花させます。安政3年（1856年）には外国貿易取調掛に抜擢され、安政6年（1859年）には外国奉行支配調役に昇進するなど、幕府内で急速に頭角を現しました。

万延元年（1860年）には、日米修好通商条約批准書交換のため派遣された万延元年遣米使節に随行し、アメリカへと渡ります。文久元年（1861年）には徒頭、文久2年（1862年）には目付、講武所頭取、歩兵頭格大砲組之頭を歴任し、元治元年（1864年）には諸大夫となりました。文久3年（1863年）には池田長発遣欧使節の目付、元治元年（1864年）には英国駐箚公使に任命されましたが、いずれも赴任には至りませんでした。元治2年（1865年）には大目付に就任し、慶応2年（1866年）には京都にて外国奉行に就任。慶応3年（1867年）には勘定奉行を兼任し、その後外国総奉行を歴任しました。

戊辰戦争とアメリカへの亡命

慶応3年（1867年）、小栗忠順らと共に兵庫港開港に備え商社を設立し、富国強兵に尽力する一方で、長州藩処分には強硬な姿勢を取りました。鳥羽・伏見の戦いでは副総督として幕府軍を指揮しましたが、慶応4年（1868年）には徳川慶喜より免職・登営禁止を命じられます。同年4月には、大坂町奉行並だった松本寿太夫と共にアメリカ船でアメリカへ政治亡命し、サンフランシスコで30ヶ月の亡命生活を送りました。

明治政府への出仕と小笠原での研究

明治3年（1870年）に帰国した塚原昌義は、アメリカ領事に匿われた後、明治4年（1871年）に自首し、静岡藩御預処分となりますが、明治5年（1872年）に赦免されます。その後、武田昌次と名を改め、明治政府に出仕し、新たな道を歩み始めました。

明治5年（1872年）には博覧会事務官、明治6年（1873年）には澳国博覧会二級事務官兼務としてイギリスへ派遣されます。帰国後、内務省勧業寮八等出仕、七等出仕を経て、明治9年（1876年）には内務省博物局農業樹林掛長に就任。明治11年（1878年）からはコーヒー栽培等の研究のため小笠原諸島に渡り、明治14年（1881年）には東京府小笠原出張所長代理を務めました。明治15年（1882年）に東京府一等属を辞し、明治21年（1888年）に東京で生涯を閉じました。

人物像と交友関係

塚原昌義は、旗本としては異例の若年寄にまで昇進した人物でしたが、御役御免になるまで部屋住のままでした。文久2年（1862年）からは蕃書調所にて伊藤圭介から物産学を学び、山口直毅、伊沢謹吾、田辺太一、塚本明毅、荒井郁之助らと親交を深め、洋食やワインを嗜んでいたと伝えられています。

塚原昌義、後の武田昌次は、幕末という激動の時代に翻弄されながらも、常に新しい知識を吸収し、時代の変化に対応しようとした人物でした。彼の生涯は、日本の近代化の過程における、一人の官僚の苦悩と葛藤、そして希望を映し出しています。

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