多摩川サイクリングコース

多摩川サイクリングロード

多摩川サイクリングロード、通称「多摩サイ」は、多摩川の両岸に整備されたサイクリングコース群の総称です。特定の道路を指すのではなく、各自治体が管理するサイクリングコースや、それらを繋ぐ一般道、河川敷、遊歩道などを含んだ広範囲なエリアを指します。右岸側は特に「サイクリングコース」と名付けられていることが多いです。

概要

多摩川サイクリングロードは、一本の道路ではなく、複数の道やルートから構成されています。整備されたサイクリングコースだけでなく、未舗装の河川敷、堤防上の道、場合によっては自転車を押して歩くような場所も含まれます。そのため、走行する際は注意が必要です。

ルート

左岸（東岸・北岸）

海老取川（多摩川の分流）の右岸、穴守稲荷神社の旧一の大鳥居前から始まり、羽村市の玉川上水取水堰まで続くルートです。自治体によって整備された歩行者自転車専用道が多いですが、全区間が繋がっているわけではありません。一部区間は工事で通行止めになっている場合があります。

右岸（西岸・南岸）

多摩運河終点（多摩川に注ぐ）の三愛石油川崎ガスターミナル裏から始まり、羽村市の羽村郷土博物館・旧下田家住宅裏まで続くルートです。左岸に比べて未整備・未舗装の区間が多く、支流の河口付近には橋がないため、迂回が必要な場合もあります。

たまリバー50キロ

東京都都市整備局が多摩川の東京都側（左岸）の羽田から羽村までのおよそ50キロについて、ウォーキング、ランニング、散策などが連続して楽しめるように整備したコースです。案内表示やマップの作成も検討されており、名称の公募によって「たまリバー50キロ」と名付けられました。

区間解説（下流から上流へ）

河口から大師橋

左岸：穴守稲荷神社の旧一の大鳥居前または弁天橋の大師橋側を起点とすることが多いです。堤防上を舗装路が走りますが、弁天橋から多摩川岸までの区間は未舗装の遊歩道です。
右岸：全区間舗装路です。多摩運河側は行き止まりになっているため、注意が必要です。川崎市多摩川河口青少年サイクリングコースが始まります。

大師橋から六郷橋

左岸：大田区管理の多摩川青少年サイクリングロードが始まり、全区間舗装路です。
右岸：舗装路ですが、大師橋付近は工事のため迂回路があります。川崎河港水門の手前で川崎市管理区間が終わり、水門の先から六郷橋までは未舗装路です。

六郷橋から多摩川大橋

左岸：全区間舗装路です。
右岸：堤防上に未舗装路がありますが、東海道本線・京浜東北線橋梁が通行不能です。幸町交番前から再び堤防上に未舗装路がありますが、工事のため一般道に戻されます。戸手町交差点からは砂利道が多摩川大橋まで続きます。

多摩川大橋からガス橋

左岸：舗装路が続きます。
右岸：神奈川県管理区間の多摩川青少年サイクリングコースが始まり、全区間舗装路です。

ガス橋から丸子橋

左岸：舗装路が続きます。品鶴線・東海道新幹線橋梁を過ぎると大田区管理区間の終点となり、丸子橋までの短い区間は多摩堤通りの車道に出ます。
右岸：舗装路です。

丸子橋から新二子橋

左岸：多摩堤通りの路側帯は狭いです。第三京浜道路の多摩川橋の下流側から堤防上のサイクリングロードとなります。二子橋をくぐったところで兵庫島へ渡るルートと、そのまま進んで多摩堤通りに出るルートがあります。
右岸：丸子橋付近は河原のコンクリート護岸の上を走り、等々力緑地付近から二子橋までは堤防上の舗装路を通ります。

新二子橋から多摩水道橋

左岸：コヤマ自動車学校を過ぎて野川を越えると、堤防下の車道に出ます。堤防上に未舗装路があり、二子多摩川緑地運動場への出入口を境に世田谷区管理のサイクリングロードになります。狛江市区間は砕石舗装道路でしたが、2021年8月に舗装工事が完了しました。
右岸：堤防上に舗装路が通ります。平瀬川河口の付近は以前は見通しの悪い急カーブでしたが、新たな橋ができてスムーズなルートとなりました。二ヶ領用水宿河原堰・二ヶ領せせらぎ館付近は桜の名所です。

多摩水道橋から多摩川原橋

左岸：狛江市内約2キロの堤防天端は砕石舗装道路でしたが、2022年2月に舗装工事が完了しました。調布市管理区間は京王相模原線手前で堤防上の道路が途切れ、サイクリングロードは河原に降り川原橋下を通過します。
右岸：舗装路です。2019年5月にニヶ領用水取水口にピクニック橋が開通し、全区間で舗装路となりました。

多摩川原橋から是政橋

左岸：調布市から府中市管理区間（府中多摩川かぜのみち）に続いています。府中市内はコースが整備されていますが、“歩行者優先道路”であり、自転車は歩行者に注意して徐行する必要があります。
右岸：東京都稲城市に入ります。稲城大橋付近では堤防から河川敷に降り、稲城北緑地公園手前で再び堤防に上ります。稲城市サイクリングコース「アカシアコース」「サクラコース」が通っており、全区間舗装路です。

是政橋から関戸橋

左岸：是政橋から府中市郷土の森公園までは河原を走ります。
右岸：自然保護地域のため、大丸堰から連光寺までの河岸は通行できません。大栗川河口から大栗川や乞田川方面に接続します。

関戸橋から府中四谷橋

左岸：全区間舗装路です。
右岸：サイクリングロードは堤防上を走り、全区間舗装路です。

府中四谷橋から石田大橋

左岸：情報がありません。
右岸：3つの支流の合流地点には橋が存在しません。程久保川を玉川橋で渡り、合流点を廻って浅川サイクリングロードに入り、新井橋で浅川を渡って多摩川浅川合流点を廻りこむと多摩川右岸に出ます。全区間舗装されています。

石田大橋から立日橋

左岸：国立市に入り、サイクリングロードは中央自動車道多摩川橋の先で一旦途切れます。根川貝殻坂橋を渡るとサイクリングロードに復帰し、立川市に入ります。
右岸：道は堤防上を走っています。日野橋の手前で河原に降りる箇所があります。

立日橋から多摩大橋

左岸：全区間が舗装路です。
右岸：中央本線橋梁で道が無くなり、一旦河川敷に下ります。谷地川合流部から新旭橋までは舗装路となります。

多摩大橋から拝島橋

左岸：ほぼ舗装路ですが、大神公園運動場を過ぎると多摩川遊歩道になります。
右岸：多摩大橋は工事中のため、下を潜れません。多摩大橋から八高線を越え日野用水堰のやや上流側まで舗装されています。八高線を潜る部分は未舗装です。

拝島橋から睦橋

左岸：昭島市拝島町五丁目には「食い違い」と呼ばれる堤防が途切れて平行している箇所があります。福生市に入ると福生南公園を通ります。
右岸：滝が原運動場専用道路を通ります。運動場を過ぎると農道になり、狭い道が複雑に入り組みます。支流の秋川沿いに進むと東秋川橋で秋川サイクリングロードと接続しています。

睦橋から多摩橋

左岸：舗装路が続きますが、多摩川中央公園に下りてから同公園を抜けるまでの区間のみダートになっています。
右岸：睦橋の先にはあきる野市立の運動場があり、舗装されています。五日市線橋梁下からしばらく未舗装になり、一般道へ出て平井川沿いの狭い未舗装路でコースに復帰します。

多摩橋から永田橋

左岸：舗装路が続きますが、分岐点に案内が無く福生柳山公園に入ると非舗装路になります。永田橋架替工事完了後、横断歩道下に歩行者・自転車用トンネルが完成しました。
右岸：サイクリングロードは無いため、住宅街へ迂回します。

永田橋から羽村大橋

左岸：福生かに坂公園の脇を通ります。
右岸：山の手の迂回路を進みます。羽村大橋西詰で羽村草花ハイキングコースを横断し、羽村取水堰の歩道橋付近が実質的な終点です。

羽村大橋から羽村堰堤・羽村市郷土博物館

左岸：舗装路が続きますが、羽村堤下公園内は未舗装です。たまリバー50キロの愛称が使われている区間としては、羽村堰下橋とのT字路分岐が上流側の起点(終点)となります。
右岸：堤防上に未舗装路がありますが、羽村大橋側から道が繋がっていません。羽村堰下橋（歩道橋）の接続口付近から舗装路になり、羽村市郷土博物館・旧下田家住宅の裏手で道が途切れます。

羽村堰堤から阿蘇神社

左岸：羽村堰堤脇で階段を通過します。左手の側道へ左折すると、運動場沿いのジョギング・サイクリングコースが続き阿蘇神社南門に到達します。この末端区間は、たまリバー50キロの愛称区間には含まれていません。

注意点

多摩川サイクリングロードは、全区間が完全に整備されているわけではありません。未舗装路や一般道との共有区間、工事による迂回などがあるため、事前に情報を確認し、安全に走行するように心がけてください。

参考文献

自転車生活ブックス編集部編『多摩川すいすい自転車旅マップ―東京、神奈川、山梨を流れる多摩川全138km完全ガイド (自転車生活ブックス 7)』ロコモーションパブリッシング、2008年
自転車生活ブックス編集部編『東京・武蔵野 自転車散歩マップ (自転車生活ブックス02)』ロコモーションパブリッシング、2005年

関連項目

多摩川
* 荒川サイクリングロード

もう一度検索