多治比小耳

多治比 小耳の生涯

多治比 小耳（たじひ の こみみ）は、奈良時代に活躍した貴族であり、姓は真人とされています。彼の官位は従五位上で、伯耆守を任されていました。彼の経歴は日本の歴史の中で非常に興味深いものであり、多くの役職を歴任し、重要な外交任務を担ったことが際立っています。

経歴の概要

小耳は淳仁天皇の治世において、天平宝字6年（762年）に渤海使の王新福を日本に迎え入れるため、正使として高麗人使の派遣に任命されました。この役割は非常に重要であり、当時の外交関係を左右するものでもありました。彼が任命された当初の位階は正六位上で、特別に許可された借緋の礼服を着用して使者として赴く権利が与えられました。

しかし、使者の一員である平群虫麻呂からの報告により、王新福が乗る船についての懸念が指摘されました。船が古びて脆弱であることから、虫麻呂は日本に留まるよう進言しました。これを受けて朝廷は小耳をはじめとする委員の派遣を中止し、船を修理することにしたため、別の部隊が新たに船師となり渤海へ向けて出発することになりました。

官位と叙爵

その後、天平宝字8年（764年）の10月に、藤原仲麻呂の乱が終結した後に行われた論功叙位において、小耳は従五位下に叙爵されました。そして11月には伯耆守に任命され、その権限を持つ役職へと昇進しました。さらに、天平神護3年（767年）には再び昇進し、従五位上の位に至ったことが記録されています。

官歴

彼の官歴は以下の通りです。これは『続日本紀』の記述を基にしています。

• - 正六位上（時期不詳）
• - 天平宝字6年（762年）11月1日：送高麗人使
• - 天平宝字8年（764年）10月7日：従五位下
• - 同年11月5日：伯耆守
• - 天平神護3年（767年）1月18日：従五位上

このように、小耳は貴族としての地位を確立し、重要な外交任務を実行した人物でした。特に渤海との交流における役割は、彼の名声を高める要因となったでしょう。彼の動向は、当時の日本と周辺国との関係においても重要な意味を持っていました。

参考資料

彼の業績に関する情報は、宇治谷孟の『続日本紀』の中に詳しく記載されています。彼の時代背景や官位の変遷を知るためには、この史料が非常に役立ちます。彼の生涯についてさらに深く掘り下げることで、当時の日本の貴族の生活や外交の実態を理解する手助けとなるでしょう。

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