平群虫麻呂

平群 虫麻呂（へぐり の むしまろ）について

平群虫麻呂は、奈良時代に活躍した貴族であり、その姓は朝臣です。本記事では、彼の経歴や官歴について詳しく解説します。虫麻呂は、従五位下の位階を持ちながら能登守としての役割も果たしました。

経歴の概略

平群虫麻呂は天平宝字3年（759年）、越前国足羽郡糞置村（現在の福井市南部の二上町・帆谷町付近）において、東大寺開田に関する地図にその名を署名しました。この時点では、彼の官位は従六位下で、越前掾として任務に就いていました。

天平宝字6年（762年）11月、虫麻呂は送高麗人使の判官に任命されました。当時、渤海使の王新福が帰国する際、多治比小耳が使者として派遣されましたが、虫麻呂は送使に同行することになっていました。しかし、遣使船の状態が悪く、虫麻呂は海を渡ることへの懸念を報告し、日本に留まるよう求めました。結果として、船の修理が完了するまで送使の渡航は中止となりました。

さらに、天平宝字8年（764年）には、藤原仲麻呂の乱が勃発します。この混乱の中、虫麻呂は孝謙上皇の側に立ち、従五位下に叙爵されました。彼は乱に関連して解任されたと思われる村国子老の後任で能登守に任命されました。このように、虫麻呂の経歴は政治的な緊張の中で形成されていることが伺えます。

官歴の詳細

虫麻呂の官歴は次のようになります。特に、注記の無い情報は「続日本紀」を基にしています。

• - 時期不詳: 従六位下
• - 天平宝字3年（759年）12月3日: 見越前掾
• - 天平宝字6年（762年）11月1日: 送高麗人使判官
• - 時期不詳: 正六位上
• - 天平宝字8年（764年）9月12日: 従五位下、25日: 能登守

このように、虫麻呂は奈良時代の官僚制度の中で、様々な役割を果たしながら、政治的な影響を持つ存在となったことがわかります。また、正倉院南倉両口布袋に「平群虫万呂」との墨書があり、彼がその時代において重要な人物であったことを物語っています。

平群虫麻呂の業績と役割は、当時の日本の政治状況や文化の理解には欠かせない要素となっています。彼の経歴は、国家の動乱や変革と切り離すことのできない位置にあったといえます。

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