大名墓地 (岐阜県恵那市)

大名墓地（乗政寺山墓地）について

岐阜県恵那市岩村町に残る大名墓地は、岩村藩の大名と藩士の墓所です。別名、乗政寺山墓地とも呼ばれています。この地には、岩村藩を治めた大給松平家、一色丹羽家、そして藩士たちの墓が数多く残されています。

大名墓地内の主な墓と供養塔

大給松平家（宗家）

松平家乗
松平真乗（家乗の父）
松樹院（家乗の妻）

一色丹羽家

丹羽氏信
曹渓院殿乾徳意貞大姉（氏信の正室）
丹羽氏春（氏信の三男）
丹羽氏定
芳春院殿蘭室永香大姉（氏定の正室）
勘十郎（氏定の次男）
智鏡院（氏定の長女）
丹羽氏純
実相院殿真如性空大姉（氏純の正室）
丹羽氏明

大給松平家（乗政流）

松平乗国（松平乗薀の長男）
松平乗友（松平乗保の長男）

岩村藩士

重臣の丹羽瀬氏、荻山氏、森氏、河合氏、佐藤氏などの墓
* 下田歌子とその夫、下田猛雄の墓

歴史

大給松平宗家の時代

慶長6年（1601年）に、大給松平家の松平家乗が上野国那波藩から岩村藩に移封され、久翁山龍厳寺を建立しました。家乗の死後、龍厳寺の境内に堂が建てられましたが、松平乗寿が浜松藩へ移封された際に龍厳寺は廃されました。その後、堂は朽ち果て、「松平前泉州家乗之墓」と刻まれた墓石が建てられました。また、家乗の父、松平真乗と妻の供養塔もこの地にあります。

一色丹羽家の時代

織田信長に仕えた丹羽氏次の子孫が岩村藩主となり、大給松平家が去った後の龍厳寺跡に妙仙寺を開きました。この寺は丹羽家の菩提寺となり、その後、いくつかの寺院が関連して創建されました。しかし、藩主の丹羽氏音が財政改革を巡る騒動で移封となり、妙仙寺も共に移転しました。大名墓地には、丹羽氏信から氏明までの墓と、家臣の墓が残されています。

乗政流大給松平家の時代

丹羽家移封後、松平乗紀が岩村藩主となり、菩提寺として乗政寺を岩村に移しました。乗政流大給松平家は、藩主の墓を江戸に建てていたため、岩村には松平乗国と松平乗友の供養塔のみが残っています。最後の藩主である松平乗命が版籍奉還で岩村藩知事に任じられ、廃藩置県により岩村藩は消滅しました。乗政寺も廃寺となり、寺宝は隆崇院に移されました。そのため、大名墓地には乗政寺は存在しません。

大名墓地は、岩村藩の歴史と変遷を今に伝える貴重な場所です。それぞれの時代を生きた人々の足跡が、静かに眠るこの場所で偲ぶことができます。

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