松平乗保

松平乗保（まつだいら のりやす）

松平乗保は、江戸時代中期から後期にかけての大名であり、老中を務めた人物です。美濃国岩村藩の第5代藩主として知られ、乗政流大給松平家の血筋を引いています。最終的な官位は従四位下・侍従でした。

生涯

寛延元年（1748年）、丹波国福知山藩主である朽木玄綱の八男としてこの世に生を受けました。幼名は不明です。

岩村藩主であった松平乗薀には、長男の乗国と次男の乗遠がいましたが、いずれも早世してしまいます。また、三男の熊蔵（後の林述斎）は幼く病弱であったため、後継者として不適格と判断されました。そこで、朽木玄綱が初代藩主・乗紀の息子であったという縁から、明和7年12月（1771年）に乗薀の養子として迎え入れられました。

明和8年（1771年）3月には、将軍徳川家治に御目見えし、同年12月には従五位下・河内守に叙任されました。安永2年（1773年）4月には、松平康福の娘と婚姻し、家としての基盤を固めていきました。

天明元年（1781年）4月、養父である乗薀の隠居に伴い家督を相続し、岩村藩主となりました。藩主として藩政を担う一方で、天明2年（1782年）には大坂加番に任じられ、天明3年（1783年）には能登守に改められています。また、天明4年（1784年）5月には奏者番に就任し、天明6年（1786年）11月には日光山御名代を勤めるなど、幕府内での役職も歴任しました。

寛政10年（1798年）7月24日には西丸若年寄に就任し、文化元年（1804年）8月には本丸若年寄に昇進しました。文化3年（1806年）10月には大坂城代に任命され、この際に従四位下に昇格しました。文化7年（1810年）6月には西丸老中に就任し、大坂城から江戸城へと移り、侍従となりました。これにより、幕府の中枢で活躍することとなります。

文政9年（1826年）、現職のまま78歳でこの世を去りました。長男の乗友がすでに亡くなっていたため、次男の乗美が家督を相続しました。

死後

松平乗保の死後、岩村藩は次男である乗美によって引き継がれました。

参考文献

『岩村町史』「十五 岩村藩主時代 3 松平氏」 p193～p227 岩村町史刊行委員会 1961年
『恵那郡史』「第七篇 第二十八章 諸藩分治 其一 岩村藩 松平氏七代」 p218～p230 恵那郡教育会 大正15年（1926年）

これらの文献は、松平乗保の生涯や業績をより深く理解するための貴重な資料となります。

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