大懿皇后

大懿皇后（だいいこうごう）は、三国時代の呉の初代皇帝・孫権の夫人（側室）です。徐州琅邪郡（現在の山東省南部）の出身で、姓は王氏。王夫人とも呼ばれていました。呉の第3代皇帝・孫休の母である敬懐皇后とは別人です。父は王盧九（おうろきゅう）。呉の第4代皇帝・孫晧（そんこう）の祖母にあたり、皇太子・孫和（そんわ）を生みました。

生涯

選抜を経て後宮に入り、孫権の寵愛を受けました。その寵愛ぶりは、歩夫人（孫権の最初の夫人）に次ぐほどだったと言われています。黄武3年（224年）に孫和を産みました。赤烏5年（242年）正月、孫和が皇太子に立てられると、孫権は王夫人を皇后に立てようとしました。

しかし、皇太子の生母として重んじられた王夫人に対し、寵愛を受けた他の宮人たちは地方に遠ざけられることになりました。また、孫権の娘である孫魯班（全公主）と仲が悪かったことから、孫魯班は孫権に対し、王夫人の悪口を吹き込むようになりました。孫権が病に臥せると、孫魯班は「王夫人は病状に関心を持たないばかりか、喜んでいるような顔をしていました」と讒言しました。

この讒言により、孫権は王夫人を厳しく扱うようになり、王夫人は憂悶のうちに亡くなったとされています。元興元年（264年）、孫晧が即位すると、祖母である王氏に大懿皇后の諡号を贈り、追尊しました。また、王氏の3人の弟を列侯に封じました。

小説『三国志演義』では、孫権の次男である孫和の母という設定になっています。

参考文献

『正史三国志6 呉書Ⅰ』 陳寿、裴松之注、小南一郎訳、ちくま学芸文庫
『資治通鑑』

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