大西新蔵

大西新蔵

大西新蔵（おおにし しんぞう、1892年7月17日 - 1988年1月21日）は、日本の海軍軍人。最終階級は海軍中将。

生涯

戦前

東京府（現・東京都江戸川区）出身。東京府立第三中学校から海軍兵学校（42期）に進む。海軍兵学校では入校時に120名中首席、卒業時は117名中3番という優秀な成績を収めた。その後、海軍砲術学校高等科学生に進み、砲術専攻士官となる。東京帝国大学でも教育学を学び、海軍大学校甲種学生に進んだ。当時のドイツはナチスが台頭していた時代であり、大西はナチスに対して嫌悪感を抱いていたという。帰国後は、艦船部隊勤務や海大教官を経て、海軍省人事局第一課長、重巡洋艦「利根」艦長を歴任。1940年10月15日には、連合艦隊旗艦である戦艦「長門」艦長に着任。

戦中

1941年8月、第四艦隊（司令長官：井上成美）麾下の第七潜水戦隊司令官に着任。主にトラック泊地に停泊し、麾下の呂号潜水艦を支援して太平洋戦争開戦を迎えた。1942年7月には新編された第8艦隊参謀長に着任。第一次ソロモン海戦では敵重巡洋艦5隻を撃破する戦果を挙げたが、輸送船団攻撃を省略した戦術は批判も呼んだ。その後、呉鎮守府参謀長を経て、海軍省教育局長に就任。教育局長就任時にはすでに敗戦を予期していたという。

1945年5月、海軍兵学校副校長として江田島に赴任。8月6日には広島に投下された原爆の閃光を目撃した。

戦後

1943年3月18日にニューブリテン島ラバウルで発生した外国人殺害容疑により、司令長官であった三川軍一と共に豪州政府からB級戦犯に指名されるも、起訴は却下された。その後は英語とドイツ語の通訳案内業の国家資格を取得し、ガイドとして生計を立てた。

人物像

旧名は『留吉』であったが、この名前を嫌い、中尉時代に『新蔵』に改名した。大所高所から物事を冷静に観察する視点を持っていたとされる。

逸話

府立三中を2番で卒業したが、当時は指定中学校の上位3番以内の卒業者は第一高等学校に無試験入学できる特典があった。しかし、旧制高等学校から帝国大学への進学には多額の学費がかかるため、周囲の反対もあり断念し、学費無料の海軍兵学校を選択した。
海軍兵学校入学願書郵送の際、切手料金不足で返送されたため、翌年首席合格を誓い、実現させた。
海軍兵学校在校中の成績は優秀だったが、海軍兵学校の教育は府立三中の勉学に比べると安易だと感じていた。
第一次ソロモン海戦では、「八」の数字が重なる偶然が重なり、縁起が良いとされていた。

主要著作物

『海軍生活放談 日記と共に六十五年 』原書房
『海軍後に遺るもの』機関誌水交 1953年・第3号
『九三式魚雷命中す』機関誌水交 1955年・第19号
『日本海軍の精神教育 (1~8) 』 機関誌水交 1961年・第90 - 97号

年譜

1892年7月17日 - 東京府南葛飾郡小松川村（現・東京都江戸川区）に生まれる。
1911年9月11日 - 海軍兵学校入校
1914年12月19日 - 海軍兵学校卒業、海軍少尉候補生
1915年12月13日 - 海軍少尉任官
1917年12月1日 - 海軍中尉
1920年12月1日 - 海軍大尉
1925年12月1日 - 海軍少佐
1930年12月1日 - 海軍中佐
1935年11月15日 - 海軍大佐
1941年10月15日 - 海軍少将
1944年10月15日 - 海軍中将
1945年10月15日 - 予備役編入
* 1988年1月21日 - 死去

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