大辻清司

大辻清司（おおつじ きよじ）について

大辻清司は、日本の著名な写真家であり教育者でもありました。1923年7月27日に東京府南葛飾郡大島町に生まれ、機械技師の家庭で育ちました。彼は東京府立第七中学校を経て、1942年に東京写真専門学校に入学しましたが、在学中の1943年に学徒出陣によって陸軍に召集され、終戦を迎えました。戦後、彼は東京写真専門学校から1944年9月に卒業の認定を受け、写真の道を歩み始めます。

復員後の大辻は、商業写真の分野で活動を開始しました。彼は写真スタジオで働く傍ら、『家庭文化』などの雑誌に写真を提供し、徐々にその名を広めていきました。1949年以降には東京美術文化展に出品し、1952年までの間、多くの作品を発表しました。その後、1953年には実験工房やグラフィック集団に参加し、創造的な活動を続けました。

大辻はシュルレアリスムから影響を受けた写真家として知られ、彼の作品は造形的かつ前衛的なスタイルを特徴としています。彼のスタイルは、戦前の新興写真や前衛写真の正統な後継者としての評価を受けています。また、写真に関する文章も多く執筆し、その知識と経験を広めました。

1958年以降は、彼の教育者としての顔がより顕著になりました。桑沢デザイン研究所や東京造形大学、筑波大学、九州産業大学などで教鞭を取り、多くの学生たちを指導しました。特に、高梨豊には彼の教えが強く影響を与え、初期の高梨の作品に大辻の影響が色濃く見て取れます。その他にも、島尾伸三、牛腸茂雄、畠山直哉、潮田登久子、児玉房子などが大辻の教えを受けて成長しました。1996年には、彼の功績が評価され日本写真協会功労賞を受賞しました。

彼はまた、同時代の多くのアーティストとも交流があり、写真家の石元泰博や美術家の斎藤義重、山口勝弘、美術評論家の瀧口修造との関係も深かったです。

1963年には長野県北佐久郡御代田町に別荘「土間の家」を建設し、その後1976年からは「上原通りの住宅」に住むことになります。これらの住宅はいずれも建築家の篠原一男によって設計されました。

展覧会と作品集

大辻の業績を広めるために、彼は数多くの展覧会に出展しています。

• - 大辻清司写真実験室展（東京国立近代美術館、1999年）
• - 大辻清司の写真 出会いとコラボレーション（渋谷区立松濤美術館、2007年）
• - 大辻清司フォトアーカイブ 写真家と同時代芸術の軌跡 1940-1980（武蔵野美術大学 美術館･図書館、2012年）

また、彼の作品集も多く出版されています。以下はその一部です：

• - 大辻清司実験室（リブラ出版、2023年9月、小平雅尋監修）
• - 大辻清司 写真集成（国書刊行会、2024年7月、増田玲編）

参考文献

大辻清司についての文献も多岐にわたります。

• - 写真ノート（大辻清司、美術出版社、1989年）
• - 大辻清司・日本の写真家21（岩波書店、1999年）
• - 大辻清司フォトアーカイブ（武蔵野美術大学、2012年） など。

彼の業績や人生は、日本の写真界において重要な足跡を残しており、後輩たちに多大な影響を与えています。

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