大隅石

大隅石について

大隅石（おおすみせき、英: osumilite）は、特定の化学組成を持つ鉱物であり、主にケイ酸塩鉱物のグループに属します。この鉱物の化学式は (K,Na,Ca)(Fe,Mg)2(Al,Fe3+)3Si10Al2O30・H2O であり、結晶系は六方晶系に分類されます。大隅石の発見は、1956年に都城秋穂によって行われ、名前は発見地の大隅半島に由来しています。

産出地

大隅石は日本各地で見られ、その中でも鹿児島県の垂水市の咲花平が最も有名です。さらに、鹿児島県内のその他の地域や、岐阜県の飛騨市月ヶ瀬、さらには伊豆諸島の神津島など、流紋岩やデイサイトを背景とする場所でも産出されています。特に流紋岩やデイサイトといった優白質火山岩内で見つかることが多いです。

性質・特徴

大隅石は、その色合いや多[[色性]]が菫青石に非常に似ています。通常、結晶の大きさは数ミリメートル程度であり、肉眼での確認が可能です。また、大隅石の一部のバリエーションである「苦土大隅石」というものも存在し、これはマグネシウムの含有量が多く、2価の鉄よりも優位であるものを指しますが、こちらも肉眼での識別は難しいです。

サイド・ストーリー

大隅石は、元々1942年に益富壽之助によって初めて発見されました。その後、1949年に森本良平が分析を行った際には、当初は菫青石として誤認されました。しかし、この時期には菫青石には存在しないカリウムが含まれていることや、光学的な一軸性が指摘されていました。東京大学の都城は、森本から試料を受け取った後に分析を行い、1951年に新鉱物として認める結果となりました。そして1953年に日本語において発表され、1956年には正式に新種記載されました。その際の命名は久野久によるものでした。

その後、化学式や構造については修正が行われ、鉄が端成分であることが確認されました。マグネシウムを含む「苦土大隅石」は、国際鉱物学連合において既成事実化され、2012年にはロシアの研究チームがドイツ産の標本をもとに論文を発表し、これが新種として認識されることとなりました。益富は、この発見により1973年に櫻井賞の第3号メダルを受け取ることとなりました。

大隅石グループの関連鉱物

大隅石は、いくつかの関連鉱物を含む大隅石グループに属しています。以下はその一部です：

• - アルミノ杉石 (Aluminosugilite): KNa2Al2Li3Si12O30
• - 苦土大隅石 (osumilite-(Mg)): (K,Na)(Mg,Fe2+)2(Al,Fe3+)3(Si,Al)12O30
• - ソグディアナイト (sogdianite): (K,Na)2(Li,Fe2+)3(Zr,Ti,Fe3+)Si12O30

これらの鉱物は、化学成分や結晶構造において大隅石と共通する特徴を持ち、同じ鉱物グループを形成しています。大隅石の研究や観察は、鉱物学や地質学の分野で重要な位置を占めており、新たな知見が得られることが期待されます。

もう一度検索