天福寺 (土岐市)

天福寺について

天福寺は、岐阜県土岐市肥田に位置する臨済宗妙心寺派の寺院であり、正覚山という山号を持ちます。この寺は、土岐肥田氏の菩提寺として、地域において重要な役割を果たしてきました。

歴史

天福寺の創建は古く、寺伝によれば天福元年（1233年）に尾張中島郡の妙興寺の末寺として建立され、その際に寺号を天福寺と定められました。その後、南北朝時代の貞治4年（1365年）には、夢窓疎石の法を継ぐ先覚周恬がこの寺に住し、寺の歴史に名を刻んでいます。

さらに、永和元年（1375年）には、天龍寺の夢窓疎石の法嗣である空谷明應（佛日常光國師）が住職を務め、4年後に退寺しました。また、応永4年（1397年）には、可児郡瀬田の東栄寺にて天福寺の和尚が開眼供養を行ったという記録が残っています。

室町時代には、永享8年（1436年）に足利義教が天福寺の澄初首座を含む数箇寺の住持に対し紫衣着用を許可しました。この出来事は、天福寺の住持が将軍に謁見できるほどの高い地位にあったことを示しています。

長禄2年（1458年）には、土岐氏が室町幕府に天福寺を十刹に列するよう申請し、翌年にはそれが認められました。この時、住持であった文仲西堂は任期を全うせずに退山しましたが、天福寺は官寺として諸山の上に位置づけられ、文仲西堂を住持に復帰させ、紫衣着用の勅許を与えました。同年には、足利義政が承勲西堂を天福寺の住持とすることを承認し、さらに長禄4年（1460年）には月航洪運を、寛正4年（1463年）には景宗西堂を住持として承認しています。

しかし、天福寺は永禄8年（1565年）に武田信玄の重臣である秋山虎繁と野村長門守の侵攻により、他の寺院と共に焼失し、一時的に廃寺となりました。この時、秋山勢は仁木（山中）藤九郎に150騎を授け、土岐郡の寺社を徹底的に焼き討ちしたとされています。焼失した寺社には、天福寺、定林寺、明白寺、光善寺、酒波神社などが含まれていました。

その後、文禄2年（1593年）に観音堂のみが再建され、元禄年間には土岐郡三十三所巡礼の二番札所として復興しました。昭和50年（1975年）には宗教法人となり、元和7年（1621年）に住持となった心田全以によって、寛永元年（1624年）に現在地に本堂が再建され、その後、庫裏、鎮守、十王堂が創建されました。平成11年（1999年）には本堂が竣工し、現在に至ります。

参考文献

横山住雄、2015、「臨済宗五山派・美濃如意輪寺と天福寺 (PDF) 」 、『花園大学国際禅学研究所論叢』（10）、花園大学国際禅学研究所、NAID 40020500858 pp. 55-82
『土岐市史 1 (原始時代-関ケ原合戦)』土岐市史編纂委員会、1970年
第八編 鎌倉室町時代の宗教概観　第三章 郷土寺院の変遷　九　土岐氏の天福寺外護　p241～p245
第八編 鎌倉室町時代の宗教概観　第三章 郷土寺院の変遷　十　定林寺と天福寺の寺格　p245～p246
第十二編　近世封建社会　第一章 安土桃山時代　七　甲州軍の暴虐(神社仏閣を焼く)　p396～p398
『肥田町史』


天福寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰の中心として、また多くの変遷を経て、現在もその姿を保っています。

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