女の盛装

『女の盛装』（おんなのせいそう）は、1968年5月27日から7月19日までフジテレビ系「ライオン奥様劇場」枠で放送された連続テレビ映画です。全40回の白黒作品として、当時の視聴者を魅了しました。

作品概要

「奥様劇場」の第32作目として制作された本作は、小児がんに侵された幼い娘の治療に奮闘する母親の姿を中心に描かれています。物語は、母親の出生の秘密、実の父親との隠された愛、そして大学病院内の権力争いといった複雑な要素が絡み合い、濃厚なメロドラマとして展開されます。

当時の人気要素をふんだんに盛り込み、難病、芸者、法廷といった要素に加え、『白い巨塔』で話題となった大学病院内の権力抗争も取り入れられました。特に、第6話が「奥様劇場」の放送回数通算1000回にあたることから、「奥様劇場放送1000回記念」として大きく宣伝されました。放送終了後には、シナリオを基にした小説が西方博美によって執筆され、単行本として出版されています。

平均視聴率は21.5％、最高視聴率は26.4％（いずれもビデオリサーチ関東地区調べ）を記録し、当時の人気ぶりが伺えます。

あらすじ

物語は、小宮光子のひとり娘、ひとみが体調不良を訴え、東都大学病院に入院するところから始まります。入学式を間近に控えた春のことでした。検査の結果、ひとみは副腎腺にがんが見つかり、すでに他の臓器にも転移しているという深刻な状況でした。光子を支えたのは、担当医の木原でしたが、実は彼こそがひとみの実の父親であることを光子だけが知っていました。

8年前、医学生だった木原と光子は結婚を約束していましたが、光子の母親が芸者だったことを理由に木原の母親が強く反対し、二人は引き裂かれていました。傷心の木原はドイツへ留学し、光子は小宮信一と結婚しました。自分の娘だと信じて疑わない小宮は、高額な治療費のために会社の金を横領し、逮捕されてしまいます。

治療費と横領金の弁済に追われた光子は、亡き母親の縁を頼り、神楽坂の置屋から芸者として働くことになります。夜の世界で働きながら、懸命にひとみの看護を続ける光子でしたが、痛みに苦しむ娘の姿を見るに耐えかね、木原に安楽死を懇願します。医師としての倫理から拒否していた木原も、ひとみの苦しみと光子の悲痛な叫びに抗うことができず、薬物を投与し、ひとみは息を引き取ります。

保釈された小宮は、娘の血液型が自分と異なることから真実を知り、復讐に燃え、光子と木原を殺人罪で告発します。物語は、複雑な人間関係と愛憎が絡み合う法廷劇へと展開していくのでした。

キャスト

小宮光子：高千穂ひづる
木原正彦：瑳川哲朗
小宮信一：外山高士
杉本教授：下條正巳
河合教授：武藤英司
中川教授：高橋正夫
岡部院長：増田順司
沢本理事長：浅野進治郎
小沢医師：天野新士
小宮ひとみ：田村ユミ子
河合久美子：生田三津子
友江：稲葉まつ子
貞子：音羽久米子
田島弁護士：沢阿由美
岸田弁護士：椎原邦彦
山城検事：宮川洋一
関口検事：森幹太
柳田検事：斉藤三勇
中里裁判長：川野耕司
岡田：伊藤寿章
堀田：保科三良
雨宮事務官：安田隆

スタッフ

脚本：柳川創造
監督：堀内真直、土屋蔵三、柳瀬観、松島稔、吉田央
音楽：大森盛太郎、横山菁児
プロデューサー：大橋正次、寺沢正(NMC)、伊藤康祐(フジテレビ)
制作：NMC・フジテレビ

主題歌

「女の盛装」
作詞・作曲：遠藤実
歌：三船和子（ミノルフォンレコード）

参考資料

「女の盛装」シナリオ決定稿
「テレビジョンドラマ」(放送映画出版)

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