妙手

囲碁と将棋における妙手

囲碁や将棋において、特に優れた着手を「妙手」と呼びます。それは、予想外の展開を生み出し、局面を一変させるような、高度な戦略性と創造性を兼ね備えた一手です。しかし、妙手とされる基準は、棋士のレベルや時代背景によって異なり、明確な定義はありません。初級者にとって驚異的な妙手も、上級者にとっては当たり前の手である場合もあるのです。

囲碁における妙手

ここでは、古来から名高い妙手や、著名な対局から生まれた妙手の一例を紹介します。

狸の腹ツヅミ

攻防戦において、黒が攻勢に出た局面で、白が絶妙な一手をもって黒の攻めをかわし、逆に優勢に転じる手筋です。意外性と効果の高さが相まって、古くから語り継がれる妙手となっています。

鎮神頭

遣唐使時代の対局で生まれたとされる妙手です。白が一方的に有利と思われた局面で、黒が放った一手は、白の必勝を思わせる布石を完全に封じ、逆転のきっかけとなりました。その巧妙さから、「鎮神頭」と名付けられ、現代の対局でも類似の局面が登場し、話題を呼んでいます。

ヨセの妙手（本因坊道知）

終盤のヨセにおいて、一見すると平凡な手に見える一手ですが、巧妙な計算に基づいており、結果的に大差での勝利につながりました。一見すると分かりづらい妙手の例として有名です。

打たれざる妙手（本因坊烈元対安井仙知）

対局後、傍観していた若手棋士が指摘した、白の一手です。この手は実際には打たれませんでしたが、もし打たれていたら黒は敗北していたとされ、「幻の妙手」として知られています。この逸話は、妙手の可能性の広さと、棋士の洞察力の深さを示しています。

ダメの妙手（安井知得）

黒が優勢な局面で、一見するとダメに見える一手ですが、実は将来を見据えた深い読みに基づいており、結果的に黒の勝利に繋がりました。一見不利に見える手の中にこそ、真の妙手があることを示す好例です。

その他の囲碁における妙手

丈和の三妙手
秀栄の三子捨て
妙手を打って敗れる（勝田栄輔）
黒地強襲（本因坊秀哉）
坂田、サバキの下ツケ
「恐ろしいものを見た」（武宮正樹）
AIに一矢報いた「神の一手」（李世乭）
日本勢13年ぶりの決勝進出（井山裕太）

これらの妙手は、いずれも高度な計算力、洞察力、そして大胆な発想に基づいたものです。それぞれの妙手には、当時の状況や棋士の個性、そして囲碁の奥深さが凝縮されています。

将棋における妙手

将棋における妙手は、囲碁とは異なり、多くの場合、自らの駒を犠牲にする「捨て石戦術」として現れます。一見すると損に見える手ですが、相手の攻めを遅らせ、自らの反撃の機会を伺うなど、戦略的な目的を持っています。

タイトル戦における3大妙手

将棋界では、特定のタイトル戦における3つの妙手が特に有名です。これらは、いずれも局面を大きく変える、鮮やかな一手として知られています。

その他の将棋における妙手

数々のタイトル戦や重要な対局で生まれた妙手は、棋士の技量や戦術眼の高さを示すだけでなく、将棋史に名を残す重要な一手として語り継がれています。

升田幸三賞を受賞した妙手

将棋大賞の升田幸三賞は、その年に最も優れた妙手を表彰する賞です。数々の名勝負から生まれた、記憶に残る妙手が選ばれてきました。受賞した妙手は、いずれも戦略性と創造性に富み、将棋界に大きな影響を与えたと言えます。

結論

囲碁と将棋における妙手は、単なる「上手い手」を超えた、戦略と創造性の結晶です。それらは、棋士の知略と洞察力を示すだけでなく、観る者にも深い感動と興奮を与えてくれます。これらの妙手を学ぶことは、囲碁や将棋の奥深さを理解し、楽しむための重要な一歩となるでしょう。

もう一度検索