宇部伊佐専用道路

宇部伊佐専用道路：日本最長の私道

宇部伊佐専用道路は、山口県宇部市から美祢市に至る、UBE三菱[[セメント]]が所有する全長31.94kmの専用道路です。この道路は、かつて宇部興産がセメント原料の輸送効率化のために建設し、2022年の事業分社化に伴い現在の名称となりました。旧称は宇部・美祢高速道路で、通称は宇部興産専用道路として知られていました。

建設の背景

1967年に着工し、1972年から部分供用が開始、1975年に興産大橋を除く区間が全通しました。1982年には興産大橋が開通し、現在のルートが完成しました。総工費は200億円に上ります。

この道路は、美祢市伊佐町の伊佐セメント工場と宇部市小串の宇部セメント工場を結び、石灰石やクリンカーといったセメント原料を輸送するために利用されています。一般道とは完全に隔離された私道であるため、道路交通法などの適用を受けません。専用道路内を運転するには、同社の許可と運転資格が必要です。

鉄道輸送からの転換

以前は、これらの輸送には国鉄美祢線の貨物列車が利用されていましたが、セメント需要の増大や国鉄のストライキ、輸送コストの問題から、より効率的で安定した輸送手段が求められました。ベルトコンベアや専用[[鉄道]]の敷設も検討されましたが、最終的には、長期的な利用と地域振興への貢献が見込める道路建設が決定されました。この決定は、当時の宇部興産社長である中安閑一氏によって推進されました。

道路の特徴

道路は、中国自動車道と並行する区間や、伊佐隧道というトンネル、国道2号や山陽新幹線との立体交差など、多様な地形を通過します。宇部港では、興産大橋という長大な橋で海を渡ります。道路の大部分は片側2車線ですが、一部に片側1車線の区間や、宇部湾岸道路のランプに転用された区間もあります。また、宇部市内の沖の山地区では、一般車両が通行可能な構内道路と平面交差するため、踏切が設置されています。この踏切は、過去にテレビ番組で紹介されたこともあります。

使用車両

専用道路では、ダブルストレーラーが運用されています。これらの車両は、6%の上り坂でのゼロ発進や、120tのトレーラーを時速70kmで牽引するパワーが求められます。公道走行がないため、国内で一般市販されている車両よりも高出力のエンジンが搭載されています。

かつては、トリプルスと呼ばれるより大型のトレーラーも運用されていました。また、軽量化のためにエアサスペンションやオールアルミ製のトレーラーも導入されました。

興産大橋

興産大橋は、宇部港内を跨ぐ橋として1982年に開通しました。この橋は、宇部興産とその関連会社によって設計・施工され、当時の技術力を示すものとなっています。36mの桁下高を確保しつつ、橋の中央部に向かって6%の急勾配を持つという特徴的な構造をしています。また、海苔漁場への影響を考慮して、巨大な橋梁を一括架橋する手法が採用されました。

興産大橋は、日本鋼構造協会の業績賞や土木学会田中賞を受賞するなど、技術的にも高く評価されています。

道路の現在

2022年に宇部興産がUBEに社名変更し、セメント事業がUBE三菱[[セメント]]に移管されたことに伴い、道路の名称も宇部伊佐専用道路に変更されました。現在では、ダブルストレーラーのカラーリングもMUCCのコーポレートカラーに改められています。

この道路は、産業観光バスツアーのコースに組み込まれたり、過去には自転車ロードレースのコースとしても利用されたりするなど、地域にとって重要な存在となっています。また、災害時には警察車両の通行を可能にする協定も締結されています。

宇部伊佐専用道路の主な情報

全長: 31.94 km
起点: 宇部市大字小串 UBE三菱[[セメント]] 宇部セメント工場
終点: 美祢市伊佐町伊佐 UBE三菱[[セメント]] 伊佐セメント工場
通過自治体: 山口県 宇部市 - 山陽小野田市 - 宇部市 - 美祢市
主な構造物: 伊佐隧道、興産大橋
主な交差道路: 山口県道354号線、国道190号線、山口県道29号線、山陽自動車道、国道2号、山口県道30号線、中国自動車道、国道435号線など
* 使用車両: ダブルストレーラー


この道路は、単なる私道ではなく、地域の産業を支える重要なインフラとしての役割を担っています。その歴史と技術は、今もなお多くの人々の関心を集めています。

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