安倍文殊院

安倍文殊院

安倍文殊院（あべもんじゅいん）は、奈良県桜井市阿部にある華厳宗の寺院です。山号は安倍山。本尊は文殊菩薩で、知恵の文殊として信仰を集めています。日本三文殊の一つに数えられ、多くの参拝者が訪れます。宗教法人名は文殊院です。

歴史

安倍文殊院は、大化の改新で左大臣に任じられた安倍倉梯麻呂が、大化元年（645年）に孝徳天皇の勅願を受けて安倍氏の氏寺として安倍山崇敬寺（安倍寺）を建立したのが始まりとされています。

創建当時の寺地は現在の文殊院の西南300メートルほどの場所にありましたが、平安時代末期に多武峰の妙楽寺（現、談山神社）の僧兵によって焼き討ちされ、全焼しました。

旧寺地（桜井市安倍木材団地1丁目）は「安倍寺跡」として国の史跡に指定され、史跡公園として整備されています。発掘調査の結果、安倍寺は東（右）に金堂、西（左）に塔が建つ法隆寺式伽藍配置をもっていたことが判明しています。出土した古瓦の様式年代からも、創建が7世紀に遡る寺院跡であることがわかります。

鎌倉時代になると、拠点を現在地にあった崇敬寺智足院の別院・満願寺に移して再興がなされました。安倍寺が東大寺の末寺であった縁から、東大寺の復興に尽力した重源上人の縁で仏師快慶が本尊の文殊菩薩像を制作しています。これにより満願寺は文殊堂とも呼ばれ、塔頭寺院も28坊を数え、大和十五大寺の一つとして隆盛を誇りました。

しかし、永禄6年（1563年）に松永久秀の軍勢によって焼かれ、本尊をはじめとするいくつかの仏像は焼け残ったものの、建物はほぼ全焼し、衰退してしまいます。

寛文5年（1665年）に元安倍寺満願寺の本堂・文殊堂が再建され、復興を果たしました。

明治時代の廃仏毀釈の際には、名称を文殊院と改め存続しました。かつて敵対していた多武峰の妙楽寺は廃寺となり談山神社となりましたが、妙楽寺の本尊であった阿弥陀三尊像は安倍文殊院が引き取ることになり、釈迦三尊像（桜井市指定有形文化財）として祀られています。

安倍文殊院は陰陽師・安倍晴明が陰陽道の修行をした場所とも伝えられており、2004年（平成16年）には晴明堂が再建されました。2010年（平成22年）には、安倍氏と関わりのある安倍晋三が石燈籠を寄進しています。

毎年9月には、コスモス畑が迷路として開放され、多くの人々が訪れます。

境内

本堂：寛文5年（1665年）建立。快慶作の木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像が安置されています。
釈迦堂：元は多武峰妙楽寺の本尊であった釈迦三尊像が安置されています。
本坊：安土桃山時代建立。元は大神神社神宮寺の大御輪寺の客殿。
鐘楼
稲荷神社：安倍晴明の母親とされる白狐の信太森葛葉稲荷を祀っています。
文殊院西古墳：7世紀中頃の古墳で、安倍（阿倍）氏一族の墓とされています。
五台閣
吉祥閣
文殊池
金閣浮御堂：安倍仲麻呂像、安倍晴明像などを祀る六角堂。
不動堂
文殊院東古墳：7世紀前半に築造された古墳。
白山堂：室町時代後期建立。縁結びの神として知られる菊理媛神を祀っています。
晴明堂：2004年（平成16年）再建。
鏡池
山門

文化財

国宝
木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像 4躯（快慶作）
重要文化財
白山神社本殿
国指定特別史跡
文殊院西古墳
奈良県指定有形文化財
本坊
奈良県指定史跡
文殊院東古墳
桜井市指定有形文化財
本堂
木造釈迦三尊像
木造大日如来坐像

札所

大和十三仏霊場
大和七福八宝めぐり（弁財天）
大和北部八十八ヶ所霊場
大和ぼけ封じ霊場
神仏霊場巡拝の道

電子マネー決済

2007年（平成19年）4月、全国の神社仏閣で初めて電子マネーを導入しました。

アクセス

JR桜井線・近鉄大阪線 桜井駅 より奈良交通バスで「安倍文殊院」下車
または駅から徒歩25分
駐車場300台分有り（有料500円）

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