安国寺 (茅野市)
安国寺（あんこくじ）
安国寺は、長野県茅野市にある臨済宗妙心寺派の寺院で、泰平山を山号とします。本尊は釈迦如来像であり、開山は夢窓疎石です。この寺は、南北朝時代に足利尊氏・直義兄弟によって全国に建立された安国寺利生塔の一つとして、暦応4年（1341年）に創建されました。信濃の安国寺は、室町幕府奉行人の諏訪円忠が創建に関わったとされています。
歴史
創建当初、安国寺は七堂伽藍を備え、永閑寺、等々寺、能訓寺など八つの塔頭を有する大規模な寺院でした。諏訪大社大祝の居館があった前宮に近い場所に位置し、門前町として東大町、西大町が栄えていました。
しかし、文明12年（1480年）には諏訪大社の上社と下社の対立による戦火に見舞われ、文明14年（1482年）には宮川の大氾濫によって堂宇を含む寺域が全て流出し、荒廃しました。さらに、天文11年（1542年）には宮川の戦い（現在の安国寺前古戦場）で再び戦火に見舞われました。
その後、安永年間に諏訪藩主によって現在地に改築され、京都の天龍寺から分かれて妙心寺派に改宗しました。寺紋は、足利氏の定紋である「足利二つ引」と諏訪氏の「梶の葉」が用いられています。
市指定史跡
安国寺には、「市指定史跡 諏訪氏安国寺御廟所」があります。碑には「安国寺殿竺渓中派大庵主」と「桂巖芳樹大姉」と刻まれており、これらは諏訪満隣夫妻の法号です。また、満隣の兄である諏訪頼隆の供養墓碑も存在します。江戸時代には、諏訪氏によって祭祀が行われ、御廟所の修築のために資金や米が寄進されていました。昭和34年（1959年）の台風で廟屋は倒壊しましたが、墓碑と宝篋印塔二基が往時の面影を残しています。
御廟所近くには、「市指定史跡 干沢城跡（樋沢城址）」があります。干沢城は、上原城、桑原城と上川沖積地を挟んで鼎立し、「安国寺城」とも呼ばれていました。宮川を裾に控えた要害の山城で、古くから前宮を守る重要な砦として利用されていました。
文明15年（1483年）には、大祝継満が上原城主の諏訪政満一族を殺害し、干沢城に籠城しましたが、惣領家を支持する一族や神長官に攻められ、高遠に逃れました。この時、継満の父である頼満は討たれました。また、天文11年（1542年）の宮川の戦いでは、干沢城は武田氏に対抗する高遠勢に占領され、安国寺は戦火に巻き込まれました。城跡には、本丸、曲輪、二の丸、三の丸、空堀の跡がわずかに残っています。
境内
現在の安国寺には、本堂と鐘楼があります。
交通アクセス
関連項目
参考文献
外部リンク
- - 茅野市ホームページ・市指定文化財
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