安芸福原氏

毛利家を支えた一族、福原氏

福原氏（ふくばらうじ）は、戦国時代から江戸時代にかけて毛利氏に仕えた重臣の家柄です。その始まりは、毛利元春の五男である広世が、備後国の名門・長井氏の養子となったことに遡ります。

長井氏から福原氏へ

広世は、父・元春から安芸国内の福原村などを譲り受け、そこに鈴尾城を築いて居城としました。そして、長井氏から福原氏へと名字を改め、毛利氏宗家から独立した領主としての地位を確立します。

長井氏は、鎌倉幕府の重鎮であった大江広元を祖とする名門で、毛利氏とは同族にあたります。広世は長井氏を継承することで、その家格と所領を受け継ぎました。広世は足利将軍家などからも所領を安堵され、毛利氏宗家から独立した領主となりました。

毛利宗家を支える

福原氏は、毛利氏の重臣として、数々の戦で活躍しました。特に、毛利元就の時代には、その勢力拡大に大きく貢献し、毛利氏の中国地方制覇を支えました。福原氏は他の庶家と毛利宗家との対立の中で、終始毛利宗家に協力し、絶対の信頼関係を築くことに成功しました。そのため、朝広の子、福原広俊の娘が毛利弘元の正妻となり、毛利氏当主となる毛利興元や毛利元就を産みました。当主の外戚として福原広俊は毛利氏を支え、興元、元就を支えました。

福原広俊は、毛利幸松丸死去後の大永3年（1523年）7月、毛利元就に宗家の家督相続を要請した宿老十五人の連署状等起請文の筆頭に署名しています。天文9年（1540年）の吉田郡山城の戦いでは居城の鈴尾城を守備しました。

江戸時代

関ヶ原の戦い後、毛利氏が防長二国に減封されると、福原氏は萩藩の重臣として、引き続き毛利氏を支えました。宗家は長門国宇部に1万1314石余を領しました。幕末期の当主元僴は、禁門の変に敗れて自刃に追いやられましたが、徳川幕府滅亡後、明治天皇より正四位を追贈されました。

長州藩やその支藩には福原氏の庶流が数多く存在するため、福原氏からは多数の志士が出ました。

明治以降

明治維新後、福原氏は華族に列せられ、男爵の爵位を授けられました。福原家は、その後も実業界や政界で活躍し、日本の近代化に貢献しました。

元僴の養子芳山（良通）は一時期鈴雄に改姓していたが、幕長戦争で軍功を挙げ、明治4年に福原に復姓しました。維新後は判事を務めていました。

明治15年に芳山が死去した後には息子の福原俊丸が相続しました。この俊丸が明治33年（1900年）5月9日に、旧万石以上陪臣家、かつ華族の体面を維持できるだけの財産も保持していると認められて華族の男爵に叙されました。俊丸は実業家として活躍した後、貴族院の男爵議員に当選して務めました。福原男爵家の邸宅は東京市杉並区阿佐谷にありました。

この宗家以外にも庶流家が2家、勲功により華族の男爵に叙されています（明治30年10月に男爵となった福原豊功陸軍少将の家と、明治33年5月に男爵となった福原実陸軍少将の家）。

福原氏は、毛利氏の家臣として、その歴史に深く関わってきました。その功績は、現代においても高く評価されています。

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