定遠級戦艦

定遠級戦艦

定遠級戦艦は清国海軍に属する装甲艦の艦級であり、1881年にドイツのフルカン造船所で建造されました。この艦級は、清仏戦争の中立期間を経て、1885年に天津に到着し、正式に清国海軍に就役しました。これらの艦は、その設計が当時のドイツのザクセン級装甲艦をベースにしているものの、イギリス海軍の「インフレキシブル」を参考にした形状や主砲の配置が特徴的でした。

1. 舷側と艦形の特徴

定遠級は、乾舷が高く水面下に鋭角な衝角を持つ船体形状を持ち、中央部分が高くなっています。最初の設計では帆走を前提としていましたが、機関技術の発展により帆走施設は廃止され、代わりにミリタリーマストが搭載されました。このマストには、見張り台や速射砲が設けられており、艦の防御力を強化する役割も果たしていました。

2. 武装と戦闘能力

定遠級は、主砲にクルップ社製の30.5cm後装填式ライフル砲を採用しており、発射速度は3分間に1発、最大射程は約7,800mです。砲塔は装甲フード付きで、敵の攻撃に対して一定の防御力を持たせていましたが、実際には発砲煙による障害があったため、戦闘時にはフードを外して運用されました。また、副砲には15cm単装砲を配置し、高所に設置することで波浪の影響を受けにくくし、戦闘能力を向上させていました。

3. 機関と航行能力

主機関は船体中央部に配置され、石炭を燃料とした円筒缶を搭載しています。定遠は最大出力6,200馬力で、速力14.5ノットを発揮しました。一方、同型艦の鎮遠は少し強力で、最大出力は7,200馬力で15.4ノットを実現しました。これにより約4,500海里を航行することができました。

4. 戦歴とその後

定遠級は日清戦争で黄海海戦に参加し、数多くの命中弾を受けながらも高い防御力を発揮して撤退に成功しました。しかし、工業力の限界により、その後の修理は困難を極めました。結局、1895年には日本海軍に鹵獲され、以降も日本海軍の戦艦として歴史を刻むことになります。

5. 現在の状況

定遠級の艦体は現在日本国内において記念館として保存されており、その一部は博物館に展示されています。また、中国でも復元艦が進水し、歴史遺産としての価値を持続させています。このように、定遠級戦艦は歴史的な役割を持ち続けている艦艇の一つと言えるでしょう。

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