宿 (さいたま市)

さいたま市桜区大字宿：歴史と地理、そして現代

概要

埼玉県さいたま市桜区にある大字宿は、古くからの歴史と、現代の都市開発が複雑に交錯する地域です。この記事では、宿の地理的特徴、歴史的変遷、そして現在の様子について詳細に解説します。


地理

宿はさいたま市桜区の北西部に位置し、荒川の沖積平野に広がっています。特に荒川の堤外付近は複雑な境界線を描いています。東は白鍬や神田、南は五関や塚本、西は下大久保、北は在家という近隣地域と接しています。塚本付近には、入会地由来の飛地も存在します。地域の大部分は市街化調整区域に指定されており、西部は主に大久保浄水場が占めています。一方、埼玉県道57号さいたま鴻巣線沿いの東部では宅地化が進んでいます。地区の中央部や鴨川周辺には、農地も残されています。近年では、さいたま築堤事業による堤防のかさ上げ工事が行われ、荒川河川敷は荒川総合運動公園と農地として利用されています。


歴史

江戸時代には武蔵国足立郡植田谷領に属する宿村として存在していました。村高は、時代によって変動しており、『田園簿』では276石余、『元禄郷帳』では302石余、『天保郷帳』では318石余と記録されています。中山道大宮宿への助郷も務めていました。化政期には戸数32軒、東西22町、南北4町余ほどの規模でした。観音寺には、慶安2年（1648年）に8石の寺領が寄進されていた記録が残っています。地名「宿」の由来は、宿場町のように家々が軒を連ねて賑わっていたことに由来すると言われています。


土地の所有形態は時代とともに変遷しました。当初は幕府領でしたが、正保年間（1645～1648年）頃には旗本浅岡氏の知行地となり、その後再び幕府領に戻っています。検地は寛永年間（1624～1645年）に行われました。その後、1727年（享保12年）からは旗本小笠原氏と幕府領、1731年（享保16年）からは旗本小笠原氏と伊奈氏による相給、そして幕府領という複雑な所有形態をとっていました。持添新田は常に幕府領でした。


幕末には足立郡宿村となり、明治維新後も様々な行政区域変更を経て、1889年（明治22年）の町村制施行により、上大久保村、下大久保村、五関村など複数の村と合併して大久保村となり、大字宿となりました。その後、1955年（昭和30年）には浦和市に編入され、2001年（平成13年）の浦和市、大宮市、与野市の合併によりさいたま市となり、2003年（平成15年）には政令指定都市に移行し、現在のさいたま市桜区大字宿となりました。


遺跡

宿には宿宮前遺跡があり、古くから古瓦が出土していました。1983年（昭和58年）と1991年（平成3年）の発掘調査では、古墳時代後期から平安時代の住居跡が発見されました。また、大久保浄水場建設予定地では、大久保条里遺跡などの遺跡が発見され、建設前に大規模な調査が行われました。これらの遺跡は、宿の歴史の深さを物語っています。


現在の様子

現在、宿には大久保浄水場をはじめ、特養ホーム彩歳苑、介護老人保健施設ファインハイム、認定こども園おおとり幼稚園などの施設が立地しています。また、宿自治会センターや荒川総合運動公園も地域の住民にとって重要な拠点となっています。交通は、鉄道は通っていないものの、北浦和駅方面へのバス路線が整備され、宿バス停が利用可能です。道路としては、埼玉県道57号さいたま鴻巣線と埼玉県道155号さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線が通っています。


まとめ

さいたま市桜区大字宿は、長い歴史と近年の都市開発が共存する地域です。古くからの遺跡や歴史的背景と、現代の生活空間が調和しながら発展を続けています。これからも、歴史と自然を大切にしつつ、地域住民の生活の質を高めるような発展が期待されます。

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