専称寺 (加賀市)

専称寺（せんしょうじ）は、石川県加賀市大聖寺鉄砲町に位置する真宗本願寺派の寺院です。山号は龍華山、本尊は阿弥陀如来を祀っています。地元では河崎専称寺とも呼ばれ親しまれています。

歴史

中世

専称寺は、もともと天台宗の龍華院として創建されました。承元元年（1207年）、親光が親鸞聖人に帰依したことで浄土真宗に改宗し、専称寺の開基となりました。親光以降、信光、光清、玄光、恵光、巧光、寿光と代々受け継がれました。

寺の伝承によると、8世真光の時代、文安5年（1448年）に越中国礪波郡野尻郷河崎村（現在の富山県南砺市福野）から加賀国江沼郡山代庄（現在の石川県加賀市）に移転しました。その翌年の宝徳元年（1449年）には、真光の代に存如から親鸞聖人の絵伝が下付されました。この頃には、専称寺はすでに有力な寺院として知られ、15世紀中ごろには西本願寺派（後の本願寺派）に属していたことが明確になっていました。

檀家は大聖寺に最も多かったものの、菅谷、山代、黒瀬、河崎、栄谷などにも10軒以上存在し、その影響は大聖寺川の中流域にまで及んでいました。

真光の時代には、真宗高田派からの焼き討ちに遭ったとする説もありますが、『加賀市史』ではこの説を否定しています。また、本願寺の内紛である享禄・天文の乱の際には、賀州三ヶ寺側についたために粛清を受け、越前国金津（現在の福井県あわら市）に一時退転しました。その後、9世順光と10世祐光は菅谷（現在の加賀市山中温泉）に、11世正智は七日市（現在の加賀市）に住みました。専称寺と同様に、勝光寺、専光寺、願成寺などもこの時に退転を余儀なくされました。

近世

12世正芸の代になり、文禄元年（1592年）に七日市から河崎に戻り、准如から顕如御影の下付を受けました。寛永16年（1639年）に大聖寺藩が成立すると、城下に寺地が与えられ、寛永17年（1640年）頃に現在の鉄砲町に移転しました。専称寺は、江沼郡における六日講の中心的な役割を担っていました。15世観梅は「雪女化生問答」を著すなどして、民衆の教化に努めました。江戸時代には観梅から5代にわたり、触頭を務めました。

境内

専称寺の境内には、以下の建物があります。

本堂
山門
蔵
冝英先生之墓

文化財

県指定文化財

絹本著色親鸞聖人絵伝 附宝徳元年裏書: 4幅の絵伝と附旧裏書4紙2幅で構成されています。浄土真宗の開祖である親鸞聖人の生涯を描いた絵伝であり、宝徳元年（1449年）に存如から下付されたことが裏書から判明しています。加賀国における蓮如以前の真宗の布教活動を知る上で、非常に貴重な資料とされています。1999年（平成11年）11月26日に石川県指定文化財に指定されました。

歴代住職

越中国時代

加賀国時代

8世 真光
9世 順光
10世 祐光
11世 正智
12世 正芸
13世 祐光 - 貞享3年（1686年）7月8日 没
14世 祐西 - 元禄7年（1694年）11月11日 没
15世 観海 - 宝暦3年（1753年）9月3日 没
16世 龍智 - 宝暦14年（1764年）4月17日 没
17世 離方 - 寛政6年（1794年）7月13日 没
18世 宗真
19世 宗学 - 明治8年（1875年）5月26日 没
20世 宗要 - 明治15年（1882年）住職を辞任
21世 宗薫

現地情報

所在地: 〒922-0035 石川県加賀市大聖寺鉄砲町33
* 交通アクセス: JR北陸本線大聖寺駅から徒歩

専称寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰と文化の中心として重要な役割を果たしてきました。現在も、その美しい姿と貴重な文化財を通して、多くの人々に親しまれています。

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