将司昂親

将司 昂親（まさつかさ こうしん）

青森県出身、入間川部屋に所属した元大相撲力士。本名は小野 正仁。愛称はマサ。身長183cm、体重143kg。得意手は突き、押し。最高位は西前頭8枚目。

経歴

角界入り前

青森県西津軽郡深浦町に生まれ、幼少期から相撲の基礎を積んだ。地元道場で稽古に励み、深浦町立大戸瀬中学校、青森県立五所川原農林高等学校と進学。高校時代には全国大会にも出場するなど、相撲で確かな実績を重ねた。高校卒業を控え、一時は相撲以外の道も考えたが、高校相撲部の監督から入間川親方（元関脇・栃司）を紹介されたことが転機となり、角界入りを決意した。

入門から十両昇進

高校卒業と同時に、入間川部屋に入門。2003年1月場所に、本名の小野正仁として初土俵を踏んだ。この時、既に結婚しており、所帯持ちでの入門は当時の年齢制限制度が導入されて以降では極めて珍しいケースとして注目された。

角界入り後は順調に出世階段を駆け上がり、同年3月場所では序ノ口で優勝を果たした。翌場所でも序二段で優勝争いに加わる活躍を見せ、初土俵からわずか1年となる2004年1月場所には幕下へ昇進。幕下上位では苦戦することもあったが、大崩れすることなく安定した成績を維持し、2005年7月場所では西幕下3枚目の地位で6勝1敗という好成績を収めた。この活躍が評価され、同年9月場所には新十両昇進を果たした。十両昇進前には妻子がいることを公表したが、後に離婚に至っている。

十両定着と幕内昇進

新十両場所は負け越し、続く場所で一度幕下へ陥落したが、わずか1場所で十両に復帰。以降は怪我による休場もありつつも、関取の地位を維持した。2007年5月場所では東十両4枚目まで番付を上げ、初の幕内昇進を目指したが、場所中に踵を負傷し無念の休場。その後もしばらく勝ち越しから遠ざかったが、2008年1月場所で約1年ぶりに勝ち越しを決めた。この頃から、時間一杯の際に大量の塩を撒く豪快なパフォーマンスが土俵で見られるようになった。

2008年3月場所では自己最多となる9勝を挙げ、東十両3枚目で迎えた5月場所。場所直前に不幸な出来事（長男の逝去）に見舞われるという精神的に非常に辛い状況下であったが、これを乗り越え9勝6敗と勝ち越しを決めた。この勢いを保ち、続く7月場所で見事新入幕を果たした。前頭16枚目の地位で迎えたこの場所でも、目標としていた10勝（10勝5敗）を達成し、幕内でも通用することを証明した。

新入幕場所後の9月場所からは、下の名を亡くした長男にちなんで「将司昂親」と改名した。しかし、改名後は怪我に悩まされることが多くなり、再び十両での土俵が増えることとなった。

十両優勝と突然の引退

怪我に苦しみながらも土俵を務め続けた将司は、2010年7月場所で西十両3枚目の地位で躍動。13勝2敗という圧倒的な成績を収め、自身初となる十両優勝を果たした。この活躍により、同年9月場所で再び幕内に返り咲き、自己最高位となる西前頭8枚目に番付を上げた。しかし、場所前の巡業で左足首を痛めてしまい、この場所を全休。無念の十両陥落となった。

私生活では、2010年に再婚。前妻との間に生まれた子1人と、現妻の連れ子2人、そして現妻との間に生まれた子1人を合わせた4人の子の父となり、家族を支えながら相撲道に精進していた。

しかし、2011年春、大相撲を揺るがす八百長問題が発覚する。相撲協会の調査の結果、将司もこの問題に関与したとされ、同年4月1日、臨時理事会において引退勧告処分が下された。この処分について、本人は「全てがおかしすぎる」「受け入れなければこれ以上重い処分になると言われた」と納得のいかない様子をうかがわせたが、最終的には引退届を提出し、受理された。引退後、将司は八百長問題に関与した他の力士たちと共に、同年4月23日に所属していた入間川部屋で断髪式を行った。

主な成績

通算成績：305勝266敗21休（勝率.534）
幕内成績：32勝43敗15休（勝率.427）
現役在位：49場所
幕内在位：6場所
各段優勝：十両優勝1回、序ノ口優勝1回

改名歴

小野 正仁（おの まさひと）：2003年1月場所 - 2003年5月場所
将司 正（まさつかさ ただし）：2003年7月場所 - 2008年7月場所
将司 昂親（まさつかさ こうしん）：2008年9月場所 - 2011年4月

もう一度検索