小佐々町

小佐々町の歴史と文化

小佐々町は、長崎県北部の北松浦半島に位置し、かつては北松浦郡に属していました。2006年に佐世保市に編入され、自治体としての歴史を終えましたが、その地名と文化は現在も佐世保市小佐々町として息づいています。ここでは、旧小佐々町の歴史、地理、文化について詳しく解説します。

地理

小佐々町は、佐世保市の北隣に位置し、北松浦半島の南西部に広がっています。周辺の海には九十九島の美しい島々が点在し、風光明媚な景観を形成しています。特筆すべきは、町域の最西端部が東経129度33分に位置し、離島部を除く日本の本土最西端にあたることです。この地理的な特徴は、小佐々町のユニークさを際立たせています。

歴史

中世

小佐々町の歴史は古く、1244年には松浦氏の古文書に「小佐々太郎重高」という人物の名が見られます。1295年には、佐々木盛綱の子孫である佐々木小四郎がこの地に移り住み、小佐々小四郎と名乗り、「萬松山 永徳禅寺」を創建しました。この寺は、現在も小佐々町の重要な歴史的遺産となっています。また、小四郎は沖田山に城を築いたと伝えられています。1467年には、小佐々一族が西彼杵半島に本拠を移し、その子孫からは天正遣欧少年使節の中浦ジュリアンを輩出しました。

近現代

1889年、町村制の施行により小佐々村が誕生し、その後1950年に町制を施行して小佐々町となりました。かつては炭鉱が栄えましたが、エネルギー革命によって衰退しました。2000年には町役場が新築移転し、2006年には佐世保市に編入合併されました。この合併は、佐世保市との飛び地合併という形で行われましたが、2010年に周辺の町が編入されたことで解消されました。旧町役場は、現在では佐世保市役所小佐々支所として利用されています。

行政

小佐々町の歴代町長には、山口房吉氏、山口利三氏、山本実氏、赤木肇氏、金子正氏、林田誠一氏、久保田寛美氏がいます。

教育

町内には、小佐々中学校、小佐々小学校、楠栖小学校がありました。これらの学校は、現在も佐世保市の教育機関として地域を支えています。

産業

かつては炭鉱で栄えた小佐々町ですが、現在は漁業と水産加工業が主な産業となっています。特に、煮干しの生産量は日本最大を誇ります。また、小佐々工業団地も設けられ、製造業の誘致が行われています。

交通

小佐々町には空港や鉄道は存在しません。かつては国鉄臼ノ浦線が通っていましたが、1971年に廃止されました。最寄りの空港は長崎空港、最寄りの駅は松浦鉄道小浦駅です。西肥自動車の路線バスが、佐世保市と小佐々町を結んでいます。

名所・旧跡・観光スポット

小佐々町には、数々の観光名所があります。

九十九島: 美しい景観で知られる九十九島は、西海国立公園の一部です。
大悲観岩陰遺跡: 縄文時代から古墳時代にかけての遺跡で、古代の生活を知る手がかりとなります。
大悲観公園: シーボルト事件に関連する場所とされています。
足毛馬公園: 自然豊かな公園で、散策やレクリエーションに最適です。
金子あじさい園: 四季折々の花々が楽しめる庭園です。
冷水岳園地: 冷水岳からの眺望は素晴らしく、藤浦洸の詩碑も建立されています。
神崎鼻公園・日本本土最西端の碑: 日本本土の最西端であることを示す碑があります。
萬松山 永徳禅寺: 佐々木小四郎によって創建された由緒ある寺院で、中世の石塔群や鎮守神社の懸仏など、貴重な文化財が残っています。
* 本立寺の箱式石棺墓: 古代の墓制を今に伝える貴重な遺跡です。

出身有名人

小佐々町出身の有名人には、プロ野球選手の今村猛氏や政治活動家の松下満幸氏がいます。

小佐々町は、その地理的な特徴、豊かな自然、そして歴史と文化が織りなす魅力的な地域です。現在では佐世保市の一部となりましたが、その歴史と文化は大切に受け継がれています。

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