小原隆言

小原隆言（おはら たかのぶ）

小原隆言は、戦国時代に活躍した武将です。初めは大内氏に仕え、後に毛利氏の家臣となりました。大内氏の奉行人として、水軍である警固衆を率いた将の一人であり、「大内殿有名衆」においては侍大将・先手衆としてその名が記されています。

生涯

小原隆言は、大内義隆に仕え、警固衆を率いていました。その武勇から侍大将・先手衆に列せられています。初名は「隆名」といいましたが、天文16年（1547年）6月2日の書状で初めて「隆言」という名が確認できます。

天文9年（1540年）8月には、警固衆を率いて伊予国の中島へ出陣し、同年8月13日には忽那島で戦いました。翌天文10年（1541年）6月18日にも伊予国へ出陣し、7月26日までに三島、甘崎、岡村島、能島、因島などで転戦。同年8月には大内義隆の命により安芸国へ転戦し、安芸国賀茂郡志波で毛利元就と会談した後、備後国で尼子晴久の軍勢と戦いました。同年12月には尼子軍が撤退したため、小原隆言も山口へと帰還しています。

天文17年（1548年）夏、大内義隆の命による備後国攻撃（神辺合戦）に従軍。陶隆房（後の陶晴賢）が総大将となり、小原隆言は杉甲斐守、弘中隆兼らと共に軍監を務めました。山名理興が守る神辺城攻撃に際し、同年7月には大内義隆から稲薙を行うよう指示を受け、安芸国西条の大内兵に加え、備後国の国人である馬屋原氏なども動員され、大規模な稲薙が行われました。

天文19年（1550年）7月、毛利元就が安芸井上氏の粛清を行うにあたって、毛利隆元が大内義隆の内諾を得る際には、小原隆言がその仲介役を務めました。天文20年（1551年）9月1日の大寧寺の変によって大内義隆が陶晴賢に討たれると、小原隆言は大内義長に仕えましたが、大内氏滅亡後は毛利元就に仕えることとなりました。

永禄5年（1562年）7月の門司城の戦いでは、桑原龍秋と共に戸次鑑連（立花道雪）や吉弘鑑理らが率いる大友軍を撃退する功績を挙げました。

その後の小原隆言の動向については、詳しい記録が残っていません。

伝承との関わり

愛媛県大三島の大山祇神社にまつわる「鶴姫伝説」には、小原隆言が天文10年（1541年）10月に大三島を攻めた際に、大祝氏の鶴姫に討たれたという記述があります。しかし、史実としては、小原隆言はその後も生存し、活動していたことが確認されています。

なお、「鶴姫伝説」自体が一般に認知されるようになったのは、大祝氏の末裔である三島安精が小説『海と女と鎧 瀬戸内のジャンヌ・ダルク』を昭和41年（1966年）に執筆・出版して以降のことです。鶴姫の事績や同伝説の真偽については、現在でも疑義や批判が挙がっています。

参考文献

佐伯弘次「大内氏家臣人名事典」（米原正義編『大内義隆のすべて』新人物往来社、1988年）
三卿伝編纂所編、渡辺世祐監修『毛利元就卿伝』（マツノ書店、1984年）143-148頁
* 近藤清石著、三坂圭治校訂『大内氏実録』（マツノ書店、1974年）原本は1891年に出版。

もう一度検索