小山正孝

小山正孝

小山正孝（おやま まさたか、1916年6月29日 - 2002年11月13日）は、日本の詩人、中国文学者として知られています。「四季」「山の樹」「文学館」といった同人誌に参加し、関東短期大学教授も務めました。その詩業は丸山薫賞によっても評価されています。

人物

東京青山で盆景家・小山潭水の次男として生を受けた小山正孝は、府立四中、旧制弘前高等学校を経て文学の道を志しました。

高等学校時代には、杉浦明平の紹介で詩人・立原道造と出会い、多大な影響を受けました。初期の作品には、岩野泡鳴から立原へと受け継がれたソネット形式を多用し、独自の抒情的な世界を描き出しました。しかし、次第に散文的な要素を取り入れ、哲学的、幻想的な世界を構築するようになります。また、日常に潜む危機を描く作品も手がけました。初期から晩年に至るまで、彼の詩の中心的なテーマは一貫して「愛」でした。

彼の作風は、当時の現代詩壇においては特異であり、傍流と見なされることも少なくありませんでした。しかし、その独自性こそが、日本の抒情詩の本流であるという再評価の動きも高まっています。

詩作以外にも、いくつかの小説作品を残しており、その才能の一端を垣間見ることができます。これらの作品は、彼の死後にまとめられた作品集によって、改めて評価されるようになりました。

年譜

1916年（大正5年）：東京都渋谷区に生まれる。父は盆景の神泉流家元・小山潭水。
1936年（昭和11年）：東京府立四中から弘前高等学校文科乙類に進学。
1938年（昭和13年）：杉浦明平の紹介で立原道造と知り合う。
1939年（昭和14年）：東京帝国大学支那文学科に入学。「山の樹」同人となる。
1941年（昭和16年）：雑誌「四季」にエッセイ発表。「立原道造全集」の編集に参画。東京帝国大学卒業。
1942年（昭和17年）：日本出版文化協会に入社。「四季」の編集実務に携わる。加藤周一宅の文学サロンに参加。
1943年（昭和18年）：日本出版会に入社。
1944年（昭和19年）：岸田常子と結婚。
1945年（昭和20年）：召集を受けるも除隊。東京大空襲で被災し、疎開。
1946年（昭和21年）：中等学校教科書株式会社に入社。第一詩集『雪つぶて』刊行。
1948年（昭和23年）：長男正見誕生。
1955年（昭和30年）：『逃げ水』刊行。
1956年（昭和31年）：雑誌「山の樹」が復刊、同人として参加。
1957年（昭和32年）：『愛し合ふ男女（銅版画・駒井哲郎）』刊行。「立原道造全集」（第三次 角川書店）の編集に参加。
1967年（昭和42年）：復刊された「四季」に参加。「立原道造詩集」を編集刊行。中央公論社の嘱託となる。
1968年（昭和43年）：『散ル木ノ葉』を刊行。関東短期大学講師となる。
1969年（昭和44年）：関東短期大学助教授になる。中国古典文学大系17『唐代詩集 上』（杜甫の部分を担当）を小野忍と共訳。
1970年（昭和45年）：社会思想社・現代教養文庫『海外の詩人たち』に「杜甫」を執筆。
1971年（昭和46年）：第四次「立原道造全集」の編集に参加。『山の奥（銅版画・駒井哲郎）』刊行。
1974年（昭和49年）：「津村信夫全集」全3巻の編集に参加。
1977年（昭和52年）：『風毛と雨血』を刊行。
1978年（昭和53年）：『杜甫詩選』を小野忍、佐藤保と共編訳。関東短期大学教授になる。
1983年（昭和58年）：「文学館」創刊。
1984年（昭和59年）：『雪つぶて』を復刊。
1986年（昭和61年）：『山居乱信』刊行。
1987年（昭和62年）：関東短期大学を定年退職。
1989年（平成元年）：八ヶ岳大泉村の自在舎（のち八ヶ岳高原文庫）の「立原道造と優しい仲間たち展」に企画参加。
1991年（平成3年）：『小山正孝詩集』を刊行。
1999年（平成11年）：『十二月感泣集』刊行。
2000年（平成12年）：『十二月感泣集』により、第7回丸山薫賞受賞。
2001年（平成13年）：日本現代詩人会より「先達詩人の顕彰」を受ける。
2002年（平成14年）：肺炎のため死去。享年86。

著作目録

『雪つぶて』 (1946年)
『逃げ水』 (1955年)
『愛し合う男女』 (1957年)
『散ル木ノ葉』 (1968年)
『山の奥』 (1971年)
『風毛と雨血』 (1977年)
『山居乱信』 (1986年)
『小山正孝詩集』 (1991年)
『十二月感泣集』 (1999年)
『感泣旅行覚書』 (2004年)
『詩人薄命』 (2004年)
『未刊ソネット集』 (2005年)
『小説集稚兒ヶ淵』 (2005年)

外部リンク

感泣亭
* 「詩人・小山正孝の世界-感泣亭」 - ウェイバックマシン

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