小渡三郎

小渡三郎は、1925年12月14日に朝鮮の京城で生まれました。父は弁護士の小渡良忠です。1938年に沖縄へ戻り、沖縄県立第二中学校に編入。スポーツ万能で、特に理数系の科目が得意でした。1944年に同校を卒業後、海軍兵学校に進みました。海兵76期です。

戦後、小渡は政治の道へ進みます。1958年に沖縄県中頭郡美里村議会議員に初当選。その後、琉球政府では要職を歴任し、1963年には八重山地方庁長、労働局長、通商産業局長を歴任。1967年には行政副主席に就任しました。琉球政府職員として、経済復興、自治権拡大、軍用地問題、祖国復帰対策に尽力しました。しかし、1968年には個人タクシー認可汚職事件に関与したとして逮捕、起訴され、一時的に政治活動から身を引くことになります。

1971年、小渡は立法院議員補欠選挙で政界に復帰。沖縄返還後も県議会議員として活動を続けました。1979年の第35回[[衆議院議員総選挙]]では沖縄選挙区から出馬しましたが、次点で落選。しかし、翌1980年の第36回[[衆議院議員総選挙]]で初当選を果たし、国政の舞台へ。1981年4月には衆議院地方行政委員会委員に就任。1982年度から開始された第二次沖縄振興開発計画には特に力を注ぎ、沖縄の産業経済全般の推進策や、農業基盤整備、技術水準の向上に尽力しました。小渡は「第一次産業なしでは沖縄は発展しない」という強い信念を持っていました。また、在沖米軍基地問題にも積極的に取り組み、基地返還促進や跡地利用に力を注ぎました。

1983年の第37回[[衆議院議員総選挙]]では落選しましたが、1986年の第38回[[衆議院議員総選挙]]で返り咲きを果たしました。しかし、1988年7月28日、衆議院議員在任中に急性呼吸不全のため東京女子医科大学病院で死去。62歳でした。死没日をもって、勲三等瑞宝章、正五位が贈られました。

小渡の秘書を務めた人物には、翁長政俊（沖縄県議会議員・自民党沖縄県連合会長）や桑江朝千夫（元公設秘書、沖縄県議会議員）がいます。また、家族には父の良忠（弁護士）、甥の亨（元沖縄県議会議員）、又甥の小渡良太郎（現沖縄県議会議員、元沖縄市議会議員）がいます。

小渡三郎は、激動の沖縄の時代において、政治家として沖縄の復興と発展に尽力した人物でした。海軍兵学校出身という異色の経歴を持ちながら、沖縄の未来のために奔走した生涯でした。

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