小笠原忠苗

小笠原忠苗（おがさわら ただみつ）は、豊前国小倉藩の第5代藩主であり、小笠原家宗家6代にあたります。第3代藩主・小笠原忠基の孫として生まれました。

生涯

延享3年（1746年）9月24日、播磨安志藩主・小笠原長逵の三男として安志で誕生。明和9年（1772年）3月、小倉藩の第4代藩主・小笠原忠総の養子となります。安永2年（1773年）には従五位下、伊予守に叙任されました。寛政2年（1790年）に忠総が死去したため、翌寛政3年（1791年）1月29日に家督を継ぎ、従四位下、右近将監に昇進しました。

藩政

藩政においては、先代から重用されていた犬甘知寛を継続して用い、藩財政の再建を目指しました。しかし、天明の大飢饉による甚大な被害により多数の死者が出て、百姓による逃散が相次ぎました。そのため、寛政4年（1792年）に厳しい倹約令を出し、身分制の強化（被差別部落民に対して税を重くした上、彼らの着物を青染で統一した）、文武の奨励などを実施しました。これら一連の改革により、寛政10年（1798年）頃には財政が好転し、銀8000貫の貯蓄ができるまでに至りました。

しかし、これらの改革は百姓にとって過酷な負担となり、享和2年（1802年）の洪水被害を契機として、百姓たちの怒りが爆発。享和3年（1803年）1月には小倉城下で家老の犬甘知寛の免職と減税を求めて強訴を起こしました。その結果、知寛は失脚し、入牢の末に非業の死を遂げました。

忠苗自身も、これら一連の騒動の責任をとり、文化元年（1804年）7月20日に家督を養子の忠固に譲って隠居しました。幕府は騒動の責任を問いませんでした。これら一連の騒動は「小笠原騒動」と呼ばれています。

文化5年（1808年）2月18日に死去。享年63歳。

小笠原騒動は戯曲化されており、奈河清助による『濃紅葉小倉色紙』、3代目勝諺蔵による『小笠原諸礼忠孝』といった作品があります。

系譜

父：小笠原長逵（1713年 - 1770年）
母：法寿院 - 粟津弥次右衛門娘
養父：小笠原忠総（1727年 - 1790年）
正室：正姫 - 山内豊敷娘
生母不明の子女
男子：春次郎
女子：暇年姫
養子
男子：小笠原忠固（1770年 - 1843年） - 小笠原長為の長男
女子：富姫 - 小笠原忠固正室、小笠原忠総娘

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