小笠原政秀

小笠原政秀について

小笠原政秀は、戦国時代に信濃国で活躍した武将で、小笠原氏の一族、鈴岡小笠原家の当主です。室町時代、小笠原氏は家督争いによって衰退していましたが、政秀は一族の立て直しを図りました。

生涯

政秀の祖父である小笠原政康の死後、小笠原氏では家督争いが勃発し、一族は衰退の一途をたどっていました。政秀の父である小笠原宗康も、従兄弟の小笠原持長との争いで戦死しています。宗康は死の直前に弟の光康に家督を譲り、政秀は叔父である光康のもとで養育されました。寛正2年（1461年）、叔父の死によって家督を継承したと推測されています。政秀は鈴岡城を拠点とし、従兄弟の松尾城主小笠原家長や、又従兄弟の府中城主小笠原清宗と並ぶ勢力となりました。

応仁元年（1467年）頃から、政秀は清宗を攻撃し、一時は小笠原家の惣領となります。文明5年（1473年）には、室町幕府から信濃守護に任命されました。しかし、小笠原家をまとめ上げることはできず、小笠原長朝（清宗の子）を養子に迎え、再び家督を譲らざるを得なくなりました。一方、松尾家とは当初良好な関係を築き、応仁の乱では、幕府の命令で東美濃に出陣し、西軍の土岐成頼と交戦しました。しかし、後に伊賀良荘の領有をめぐり、松尾家と争うようになりました。政秀は諏訪大社の上社諏訪氏や高遠諏訪氏と同盟を結び、文明12年（1480年）には家長を討ち果たしましたが、明応2年（1493年）1月4日、家長の子である小笠原貞基や知久氏によって、松尾城で実子の長貞とともに暗殺されました。

鈴岡小笠原家は政秀の死によって滅亡しましたが、政秀の未亡人は生家の下条氏を通じて府中家の小笠原貞朝（長朝の子）を頼って落ち延びました。その後、天文3年（1534年）に貞朝の子である小笠原長棟が松尾家を下し、小笠原氏の統一を果たすことになります。

政秀の生涯は、小笠原氏の激しい内紛の中で、一族の勢力拡大に努めながらも、最終的には非業の死を遂げるという、波乱に満ちたものでした。

参考文献

今井尭「小笠原系図」『日本史総覧』 3（中世 2）、新人物往来社、1984年。
長野県史刊行会編『長野県史』通史編第2巻 中世 1987年

関連項目

* 小笠原氏

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