小笠原長朝

小笠原長朝（おがさわら ながとも）は、室町時代後期、戦国時代の武将であり、信濃小笠原氏、中でも府中小笠原家の当主として歴史に名を刻んでいます。父は小笠原清宗。

概要

長朝は宝徳元年（1449年）11月に元服し、民部大輔、大膳大夫、信濃守といった官位に任じられました。文明5年（1473年）には、室町幕府9代将軍足利義尚の就任後初の参内に供奉し、花の御所で行われた犬追物の奉行を務めるなど、幕府との関係も深くしていました。文明10年（1478年）に父清宗が死去すると、家督を相続し、府中小笠原家の当主となります。

応仁の乱においては西軍に与し、東軍についた伊那小笠原氏や諏訪大社上社と対立しました。この時期の信濃国は、応仁の乱の影響を受け、各地で小競り合いが絶えない状況でした。

文明12年（1480年）には、諏訪大社下社の金刺氏と結び、仁科盛直を穂高川で破るという戦果を挙げました（穂高合戦）。しかし、翌文明13年（1481年）には、仁科氏が頼った諏訪氏に敗北を喫します。さらに、長享2年（1488年）には、鈴岡小笠原家の小笠原政秀に井川館を陥落させられ、更級郡牧之島城へと逃れることとなりました。その後、筑摩郡の国衆が鈴岡家の府中支配を支持しなかったため、延徳2年（1490年）以降は、信濃守護に補任された政秀の養子となることで和睦しました。

明応元年（1492年）には、10代将軍足利義稙の命により、六角高頼征討（長享・延徳の乱）に出兵しました。明応2年（1493年）に政秀が松尾家の小笠原定基によって暗殺されると、長朝は孫の小笠原長棟の代まで松尾家と対立することになります。文亀元年（1501年）に59歳で没し、法名は徹叟正源。

小笠原長朝は、応仁の乱後の混乱期において、府中小笠原家の当主として、家を守り、勢力を維持するために奔走しました。周辺勢力との対立や和睦を繰り返しながら、激動の時代を生き抜いた武将と言えるでしょう。

脚注
『笠系大成』
『寛政重修諸家譜 巻第188』
* 今井尭「小笠原系図」『日本史総覧』 3（中世 2）、新人物往来社、1984年。 NCID BN00172373。

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