中頓別駅

中頓別駅（なかとんべつえき）

かつて北海道枝幸郡中頓別町に設置されていた中頓別駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の駅として、地域にとって重要な役割を担っていました。電報略号は「ナト」、事務管理コードは▲121906が付与されていました。天北線が廃止されるまで運行されていた急行列車「天北」も停車する駅でした。

歴史

中頓別駅の歴史は、1916年（大正5年）10月1日に鉄道院宗谷線の小頓別駅と当駅の間が延伸開業した際に始まりました。当初は一般駅としての扱いでした。2年後の1918年（大正7年）8月25日には、宗谷線が当駅から浜頓別駅まで延伸されたことにより、中間駅となります。1919年（大正8年）10月20日には路線名が宗谷本線に変更され、その所属駅となりました。さらに1930年（昭和5年）4月1日には、音威子府駅と稚内駅の間が宗谷本線から独立し、路線名が北見線と改称されたため、当駅も北見線の駅となります。駅舎は1934年（昭和9年）11月に改築されました。太平洋戦争後の1949年（昭和24年）6月1日、日本国有鉄道が公共企業体として発足し、その所属となります。そして1961年（昭和36年）4月1日、路線名が天北線と改称され、当駅も天北線の駅となりました。1975年（昭和50年）12月10日には、再び駅舎が改築されています。貨物と荷物の取り扱いは、国鉄末期の合理化により1984年（昭和59年）2月1日に廃止されました。国鉄分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）の駅となりましたが、わずか2年後の1989年（平成元年）5月1日、天北線の全線廃止に伴い、その歴史に幕を閉じ廃駅となりました。

駅名の由来

駅が設置された場所は、頓別川の中流域にあたります。この地理的な特徴から、「中」を冠して中頓別駅と名付けられました。ちなみに、駅の開業は1916年ですが、中頓別村（後に中頓別町となる）が成立したのは駅開業後の1921年のことです。

駅構造

廃止される直前の時点では、中頓別駅は地上駅で、単式ホームが2面、線路が2線配置されていました。これらのホームは互いに千鳥式に配置されており、列車交換が可能な構造を持つ交換駅でした。駅舎側のホーム（西側）と、その対向ホーム（東側）は、駅舎側ホームの北端と対向ホームの南端を結ぶ構内踏切によって連絡されていました。線路配置としては、駅舎側のホームが下り列車用、対向側のホームが上り列車用として使用されていました。かつては貨物用に使用されていた側線がありましたが、廃止時点までには撤去されていました。しかし、下り線の浜頓別方から駅舎側に分岐する形で、保線車両であるモーターカーを留置するための元貨物側線の一部が残されていました。なお、1983年（昭和58年）頃の状況としては、駅舎の向かい側のホームは島式ホーム（列車の両側に乗降可能）であり、上り線から分岐してこの島式ホームの外側に向かう側線が1本、さらにそこから南稚内方面へ分岐する行き止まりの側線が1本存在していました。

中頓別駅は職員が配置されている有人駅でした。駅舎は構内の西側に位置し、両方のホームへは通路と構内踏切を使って行き来できました。現在の駅舎は1975年（昭和50年）に改築されたもので、中頓別町が国鉄利用債を購入して建設資金を捻出した鉄筋コンクリート造りの建物でした。当時のローカル線の駅舎としては珍しく、水洗式のトイレが備えられていたのが特徴です。

利用状況

（乗車人員の具体的な数値データは提供されていません。）

駅周辺

駅の周辺には、主要な道路として北海道道399号中頓別停車場線や北海道道120号美深中頓別線、そして国道275号（頓別国道）が通っています。公共施設としては中頓別町役場や枝幸警察署中頓別駐在所、中頓別郵便局があります。教育機関では中頓別中学校と中頓別小学校、金融機関としては稚内信用金庫中頓別支店、農業協同組合としては中頓別町農業協同組合（JA中頓別町）が見られます。駅周辺には、駅から約4kmの場所に北海道の天然記念物に指定されている中頓別鍾乳洞があります。駅の西側には標高532mの知駒岳がそびえ、山頂からはオホーツク海と日本海の両方を眺望できます。また、寿公園には、1975年（昭和50年）5月に宗谷本線のSLさよなら列車を重連の先頭機として牽引した機関車である9600形蒸気機関車の49648号機が、静態保存されています。この機関車の写真パネルは、後述のバスターミナル2階にある鉄道記念館に展示されています。

駅跡の現状

中頓別駅の駅舎は解体されましたが、旧駅構内の敷地は1990年（平成2年）11月に中頓別町によって整備され、「天北線メモリアルパーク」として生まれ変わりました。公園の中心施設として、木造の中頓別町バスターミナルビルが建設されています。かつては宗谷バスが窓口を設置し、天北線の代替バスとしての役割を担っていた路線バス「天北宗谷岬線」や都市間バス「天北号」が乗り入れていました。しかし、2023年（令和5年）9月30日をもって路線バス「天北宗谷岬線」と窓口は廃止され、浜頓別バスターミナルや音威子府駅との間の移動手段はデマンドバスへと変更されています。

バスターミナルビルの2階には鉄道記念館が開設されており、閉塞器、保線用具、その他鉄道関連の備品や、天北線廃止時の「さよなら記念グッズ」などが保存・展示されています。また、駅前広場も「天北線メモリアルパーク」の一部として整備されており、気動車のキハ22形、キハ22 208が静態保存されています。この車両は細谷建設が取得した後に中頓別町へ寄贈されたものです。さらに、修復された腕木式信号機も設置されており、当時の鉄道風景を偲ばせます。保存されているキハ22 208は、ゲートボール利用者の休憩室としても活用されており、そのためか現役当時の国鉄カラーとは異なる鮮やかな青色に塗られています。この塗色は2010年（平成22年）や2014年（平成26年）4月の時点でも同様でしたが、屋外展示されているため風化が進んでいます。現在、国鉄カラーに塗り直す計画が進められているとのことです。

隣の駅

北海道旅客鉄道 天北線（廃止）

上駒駅 - 中頓別駅 - 寿駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
特定地方交通線

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