尾崎護

尾崎護（おざき まもる）

1935年5月20日生まれの日本の元大蔵官僚。元大蔵事務次官。早稲田大学から博士（法学）の学位を授与されています。血液型はO型。

経歴

尾崎護は、聖橋学園中学校、都立小石川高校を経て、1958年に東京大学法学部を卒業しました。大学在学中は文芸クラブに所属し、小説を執筆していたという一面も持ち合わせています。

1957年に国家公務員上級試験に2位で合格し、1958年4月に大蔵省に入省しました。主税局調査課を皮切りに、関東財務局総務部、名古屋国税局調査査察部などを経て、大蔵省大臣官房調査課調査主任、主計局調査課計画係長などを歴任しました。

その後、青森県農林部経済課長、青森県総務部財政課長を経験後、大蔵省主計局に戻り、主計官補佐、理財局資金課課長補佐などを務めました。1975年からは在アメリカ合衆国日本国大使館参事官として海外勤務も経験しました。

帰国後は、主計局主計官、内閣総理大臣秘書官などを経て、1982年に大蔵省銀行局総務課長に就任。その後、大臣官房文書課長、近畿財務局長などを歴任し、1988年には主税局長に就任しました。竹下内閣時代には、西垣昭次官の下で消費税導入に尽力し、地価税法案の成立にも関わりました。

1991年に国税庁長官、1992年には大蔵事務次官に就任。1994年に国民金融公庫総裁、1999年には国民生活金融公庫総裁を歴任しました。

2002年には早稲田大学から博士（法学）の学位を授与され、2003年以降は、矢崎総業株式会社顧問、早稲田大学大学院商学研究科客員教授、富士急行株式会社取締役、株式会社ワコール顧問などを務めました。2005年にはキッコーマン株式会社取締役、株式会社ワコール取締役にも就任。2008年には公文書管理の在り方等に関する有識者会議の座長を務めました。

人物像

大蔵省時代の同期である村本久夫氏は、尾崎護を「大変几帳面で、約束事はちゃんと果たすし、同期の面倒見もすこぶるいい」と評しています。また、尾崎は主計局時代に公債発行の調査を命じられた際、過去の主張にとらわれずに調査するように指示されたことが、その後のキャリアに大きな影響を与えたと述べています。

尾崎は、主税局担当審議官の内示を受けた際、自身のキャリアから主計局への異動を予想していたため、大変驚いたと語っています。税に関しては、外国の税制を多少学んだ程度で、日本の税制には全くの素人だったと述べています。

同期入省者

尾崎の同期には、角谷正彦（国税庁長官）、長富祐一郎（関税局長、大平総理首席補佐官）、新藤恒男（西日本シティ銀行頭取）、冨金原俊二（経企次官）、安原正（環境次官）、村本久夫（中央三井信託銀行会長）、関要（日本証券業協会副会長）、柿澤弘治（外務大臣）、大野功統（防衛庁長官）など、各界で活躍した人物が多くいます。

その他役職

公益財団法人矢崎科学技術振興記念財団理事長
公益財団法人博報児童教育振興会理事
公益財団法人朝日新聞文化財団理事

著書

尾崎護は、官僚としての経験を活かし、数多くの著書を執筆しています。

『経論のとき 小説三岡八郎』 東洋経済新報社、1995年
『経綸のとき 近代日本の財政を築いた逸材』 文藝春秋〈文春文庫〉、1998年
『低き声にて語れ 元老院議官神田孝平』 新潮社、1998年
『上書保存 元大蔵官僚の独り言』 徳間文庫・教養シリーズ、1999年
『滴ひかる 明治ひと模様』 読売新聞社、1999年
『財政政策への視点 財政再建策の回顧と模索』 大蔵財務協会、2001年（早稲田大学学位請求論文）
『本を肴に』 三月書房、2002年
『おじいちゃんの塾』 文藝春秋、2005年
『吉野作造と中国』 中央公論新社〈中公叢書〉、2008年
『蜻蛉の夢』 三月書房、2016年

参考文献

『大蔵省主税局』 栗林良光、講談社、1987年

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