尾張戸神社

尾張戸神社について

尾張戸神社（おわりべじんじゃ）は、愛知県名古屋市守山区と瀬戸市にまたがる場所にある由緒ある神社です。この神社は、式内社として知られ、旧社格は郷社でした。神社は東谷山の頂上に位置しており、「熱田の奥の院」や「東谷明神」、「当国明神」などの別名でも呼ばれています。

祭神

尾張戸神社の祭神には以下の三柱が祀られています。これらの神々は、いずれも尾張氏の祖先とされています。

• - 天火明命（あめのほのあかりのみこと）：尾張氏の祖神。
• - 天香語山命（あめのかぐやまのみこと）：別名「高倉下命」。天火明命の長子。
• - 建稲種命（たけいなだねのみこと）：天火明命の十二世孫。

天香語山命は、庄内川対岸の高蔵山から東谷山に移った際、白鹿に乗って川を渡ったと伝えられています。この伝承は、鹿乗橋という場所に名残を残しています。

歴史

創建

社伝によると、尾張戸神社は第13代成務天皇の時代に宮簀媛命によって創設されたとされています。宮簀媛命は日本武尊の妃であり、建稲種命の妹でもあります。また、江戸時代末期から明治時代初期にかけて刊行された地誌『尾張名所図会』によれば、この神社が位置する東谷山はかつて「尾張山」と呼ばれていたそうです。

東谷山の西麓には数多くの古墳があり、尾張戸神社の本殿も円墳「尾張戸神社古墳」の上に位置します。この神社名の「おわりべ」は「尾張部」を示すとも言われ、尾張氏に従属する部民を意味しています。古墳群は尾張氏の墓であるとも伝えられています。

概史

927年に成立した『延喜式』の神名帳には、尾張国山田郡に「尾張戸神社」が記載されています。また、『尾張国内神名帳』では「尾張戸天神」という名前でも言及されています。かつては熱田神宮に次ぐ大社とされていたとの情報もあります。

中世には大永元年（1521年）に火災が発生し、神宮寺と共に焼失しましたが、12月には守護の斯波氏によって社殿が再建されました。その後、江戸時代に入ると、尾張藩主である徳川義直によって神社が大きく整備され、寛文年間には中社や南社、薬師堂が建造されています。明治維新後の1872年には近代社格制度に基づき郷社に格付けされました。

境内と建造物

本殿は以前は八幡造りでしたが、明治時代に神明造に改築されました。神社の北西側には中世に見つかった甕棺墓を祀った小堂があり、これを「甕室明神」と呼ばれています。

摂末社

• - 中社：祭神は菊理媛命で、1665年に二代藩主の徳川光友によって創建されました。
• - 南社：祭神は伊弉諾命で、中社と同じく1665年に創建されました。

古墳群

尾張戸神社古墳

尾張戸神社古墳は、社殿の下に位置する円墳です。古墳群の一部で、国の史跡に指定されています。この古墳は4世紀前半に造られたと推測されています。

中社古墳

中社古墳は、境内社の下にある前方後円墳です。こちらも国の史跡に指定されており、4世紀中頃の築造と考えられています。

南社古墳

南社古墳は、円墳であり、やはり国の史跡に指定されています。これも4世紀中頃の築造とされています。

現地情報

所在地は愛知県瀬戸市十軒町845および名古屋市守山区大字上志段味字東谷209です。交通アクセスは、JR中央本線の高蔵寺駅から徒歩で約15分。また、愛知環状鉄道中水野駅からもアクセス可能です。さらに、バスも利用でき、周辺には志段味古墳群など多くの遺跡があります。この神社は当地の歴史と文化を感じる場所として、多くの参拝者に親しまれています。

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