山口常光

山口常光（1894年5月25日 - 1977年1月30日）は、日本の陸軍軍人であり、卓越した指揮者、そしてクラリネット奏者としても知られています。最終階級は陸軍軍楽少佐。陸軍戸山学校軍楽隊長、初代警視庁音楽隊長を歴任し、日本の吹奏楽界の発展に多大な貢献をしました。

生い立ちと軍楽隊への道

1894年、長崎県壱岐郡香椎村勝本浦（現在の壱岐市勝本町勝本浦）に生まれた山口は、1912年に陸軍戸山学校軍楽科に入学し、クラリネット奏者として軍楽隊でのキャリアをスタートさせました。音楽家としての才能を開花させると同時に、語学にも堪能で、1920年には東京外国語学校（現在の東京外国語大学）仏語科を卒業しています。

海外留学と軍楽隊での活躍

1930年からはフランスに留学し、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団で軍楽隊の演奏法や指揮法を学びました。さらにドイツにも留学し、本場の音楽を深く追求しました。帰国後は、1940年に開催された第1回全日本吹奏楽競演会（現在の全日本吹奏楽コンクール）で審査員を務め、1942年には戸山学校軍楽隊長に就任しました。翌年の1943年には、軍楽部における最高位である陸軍軍楽少佐へと昇進しました。

戦後の活動と指導者としての貢献

戦後は、禁衛府皇宮衛士総隊奏楽隊長、NHK吹奏楽団長を経て、1948年に初代警視庁音楽隊長に就任しました。1957年までその職を務め、警察音楽の発展に尽力しました。1960年には相愛女子大学教授となり、後進の育成にも力を注ぎました。1967年から1968年には、日本吹奏楽指導者協会（JBA）の初代会長を務め、1968年にはJBAアメリカ吹奏楽視察団の団長として、アメリカの吹奏楽事情を視察しました。

晩年と功績

1977年に生涯を閉じた山口ですが、その功績は今もなお語り継がれています。長崎県壱岐市勝本町湯本支所には、彼の銅像が建てられています。著書には『陸軍軍楽隊史』、『吹奏楽教本』、『目で見る吹奏楽百年史』、『日本ラッパ史』などがあり、日本の吹奏楽研究に大きな貢献をしました。また、作曲家としても才能を発揮し、幻想曲「喜悦」は第3回大日本吹奏楽大会の課題曲に選ばれています。

山口常光は、軍人、音楽家、指導者として多岐にわたる分野で才能を発揮し、日本の吹奏楽界の発展に大きく貢献した人物として、その名が刻まれています。

主な著書

『陸軍軍楽隊史』
『吹奏楽教本』
『目で見る吹奏楽百年史』
『日本ラッパ史』

作曲

幻想曲「喜悦」

参考文献

秋山紀夫『JBA 日本吹奏楽指導者協会 30年史 昭和42年(1967)〜平成8年(1996)』（初）日本吹奏楽指導者協会、1996年6月15日。
牟田久壽『JBA 日本吹奏楽指導者協会 50年史』（初）日本吹奏楽指導者協会、2016年6月18日。
秋山紀夫『吹奏楽の歴史 〜学問として吹奏楽を知るために〜』（初）ミュージックエイト、2013年,78頁。ISBN 978-4-87164-313-9。

関連人物

大沼哲
須摩洋朔

関連事項

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