山口愛次郎

山口愛次郎

山口愛次郎（やまぐち あいじろう、1894年7月14日 - 1976年9月24日）は、カトリック教会の司教であり、後にカトリック長崎大司教区の大司教を務めた人物です。洗礼名はパウロ。

生涯

長崎県西彼杵郡浦上山里村（現在の長崎市橋口町）に生まれた山口愛次郎は、山里尋常高等小学校を卒業後、長崎公教神学校哲学科に進みました。

1919年に長崎公教神学校を卒業すると、イタリアに留学し、ローマのウルバノ大学で学びました。この留学経験は、彼の人種や国籍を超えた平等な視点を育む上で大きな影響を与えたと言われています。

1923年12月24日、ローマウルバノ大学で司祭に叙階された後、1924年には鯛ノ浦教会の主任司祭に任命されました。その後、長崎公教神学校の教授、中町教会の主任司祭を経て、1936年11月9日には鹿児島使徒座知牧区長に任命されました。

1937年7月1日に長崎司教に任命され、同年11月7日に司教に叙階されました。太平洋戦争中には、日本海軍要員としてインドネシアに赴任し、現地信徒の司牧に携わりました。

原爆と復興

1945年8月9日、長崎市への原子爆弾投下により、浦上天主堂は壊滅的な被害を受けました。山口自身も被爆し、実母と弟家族を失うという悲劇に見舞われました。しかし、彼は絶望することなく、長崎の復興と浦上天主堂の再建に尽力することを決意します。

戦後、浦上天主堂の遺構保存が議論される中、山口は遺構を残すのではなく、天主堂を再建するという強い意志を示しました。1955年から1956年にかけてアメリカ・カナダを訪問し、建設資金の獲得に奔走しました。彼の努力が実り、1959年10月、新しい浦上天主堂が完成しました。それは、被爆から14年後のことでした。

大司教として

1959年、長崎司教区が大司教区に昇格すると、山口は5月14日に長崎大司教に任命され、9月27日に昇任しました。1962年には、日本二十六聖人列聖記念100年祭のミサを大浦天主堂で挙行し、1962年から1965年まで第2バチカン公会議に参加するなど、国際的な活動も積極的に行いました。

1968年12月19日、長崎大司教を退任（長崎司教として22年、長崎大司教として9年、計31年在任）。1976年9月24日、82歳で生涯を閉じました。

その他、長崎県公安委員長や学校法人純心学園長も歴任しました。

山口愛次郎の生涯は、激動の時代における信仰の力、そして復興への強い意志を示すものとして、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。彼のリーダーシップのもと再建された浦上天主堂は、長崎のシンボルとして、平和への祈りを捧げる場所となっています。

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