山名時義

山名時義（やまな ときよし）

山名時義は、南北朝時代の日本において重要な地位を持った武将であり、守護大名としても知られています。彼は室町幕府の侍所頭人や小侍所別当を歴任し、美作国、伯耆国、但馬国、備後国の守護も務めました。また、彼の祖父にあたる山名宗全（持豊）は、応仁の乱で名を馳せる存在でした。

略歴

時義は、正平元年（1346年）に山名時氏の五男として生まれました。若い頃から父と共に中国地方で戦い、特に正平18年（1363年）秋には、足利直冬や南朝と結びつき、室町幕府に反抗する活動を展開していました。しかし父が幕府との和解を選んだ際、時義は兄である氏冬とともに上洛し、足利義詮将軍に謁見しました。その結果、美作守護の地位が与えられましたが、後に次兄の義理にその役職を交替させられました。

建徳2年（1371年）には、父が亡くなり、長兄の師義が惣領となった際に伯耆を継承しました。そして、天授元年（1375年）には、幕府により侍所頭人や小侍所別当に任命されました。翌年、師義が病死すると、時義は山名家の当主となり、同時に但馬守護職も承継しました。時義の相続には甥の山名満幸や兄の氏清による不満もあったため、彼の当主就任は山名家内での内紛の芽を蒔くことになりました。

天授5年（1379年）に起きた康暦の政変では、今川了俊の後任として備後守護に任命され、その後も元中元年（1384年）には侍所頭人に再任されました。この頃、山名氏は全国66ヶ国の中で11ヶ国を支配し、「六分一殿」という異名を持つまでに勢力を拡大していました。

時義は元中6年（1389年）に44歳で逝去しました。長男の時熙が惣領と但馬を、甥の氏之が伯耆を継承しましたが、時義の存命中には、彼の不遜な態度が将軍足利義満の怒りを買うことになります。義満からの追討を受けた時熙と氏之は、挙兵しましたが失敗し、山名氏の力は大きく衰退していきました。この事件は明徳の乱と呼ばれています。

時義の墓所は、兵庫県豊岡市の円通寺に所在し、彼と子息の時熙の木像が伝えられています。時義はその生涯を通じて、戦国時代の渦中において重要な役割を果たした武将として記憶されています。

関連項目

• - 月山富田城
• - 円通寺（豊岡市） - 時義・時熙父子が創建

出典:

• - 国史大辞典編集委員会 『国史大辞典 7 や - わ』 吉川弘文館、1993年。
• - 平野邦雄、瀬野精一郎編『日本古代中世人名辞典』吉川弘文館、2006年。
• - 佐藤和彦他編『日本中世内乱史人名事典』新人物往来社、2007年。

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