山地元治

山地元治：明治期の軍人、その生涯と功績

山地元治(1841-1897)は、明治時代の日本陸軍において重要な役割を果たした軍人です。最終階級は陸軍中将に上り詰め、従二位、勲一等、功三級、子爵の地位と栄誉を手にしました。幼名は忠七。土佐藩に生まれ、150石取りの藩士・山地元恒を父に持ちました。

初期の経歴と戊辰戦争

高知城下で生まれた山地元治は、小姓役や足軽隊長を経て、慶応3年(1867年)には歩兵小隊司令に就任。鳥羽・伏見の戦いでは、独断で新政府軍に加わり、幕府軍を攻撃しました。戊辰戦争では、迅衝隊七番隊長、胡蝶隊長として、東北各地を転戦し、その武勇を振るいました。明治元年(1868年)には大隊長となり、翌年には戦功により賞典禄150石を授与されています。

征韓論争と自由民権運動

明治4年(1871年)、山地元治は御親兵として上京し陸軍中佐に昇任しました。しかし、征韓論争においては、板垣退助や後藤象二郎ら土佐藩出身の志士らと共に下野(辞職)を余儀なくされました。帰郷後は、板垣らと共に自由民権運動に参加しようと盟約を結びましたが、運動の方針を巡り板垣と対立、その後陸軍に復帰することとなります。

西南戦争と軍における活躍

近衛6番大隊長などを経て、明治8年(1875年)には歩兵第4連隊長に就任。明治10年(1877年)には西南戦争に従軍、別働第3旅団(後に別働第4旅団に改称)の参謀として戦場に赴きました。この戦争で負傷を負うも、その後も歩兵第3連隊長兼東京鎮台高崎営所司令官、歩兵第12連隊長などを歴任。明治14年(1881年)2月には陸軍少将として熊本鎮台司令官に就任しました。さらに大阪鎮台司令官、歩兵第2旅団長、そして再び熊本鎮台司令官を歴任したのち、明治19年(1886年)12月には陸軍中将に昇進。

日清戦争と晩年

明治20年(1887年)5月には男爵に叙爵されました。第6師団長を経て第1師団長に就任し、日清戦争では金州、旅順、田庄台などの攻略に大きく貢献しました。日清戦争での功績により、明治28年(1895年)8月には子爵に昇爵。その後、西部都督を務めた後、山口県防府市で病没しました。13歳の時に片目を失明したことから「独眼竜将軍」と呼ばれた勇将でもありました。旅順陥落の際には、飼育されていたフタコブラクダ2頭を戦利品として皇太子に献上し、上野動物園で飼育されたという逸話も残っています。

没後と墓所

山地元治の墓所は、当初青山霊園にありましたが、現在は所在不明です。1970年代の高知新聞や雑誌の記事によると、青山霊園にあったとされる山地元治の碑は、後に国道20号沿いに放置され、その後、新宿の世界堂が所有し、庭園の石橋として転用されたと伝えられています。高知県での保存も検討されましたが、実現には至りませんでした。このことから、山地元治の墓は、1970年頃には無縁仏となっていたと推測されています。

栄典・勲章等

山地元治は、その功績から数々の栄典・勲章を授与されました。位階は従二位に達し、勲章には勲一等旭日大綬章、功三級金鵄勲章などが含まれます。

山地元治は、激動の明治時代を生き抜き、軍人として、そして政治に関わる活動家としても重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。その生涯は、日本の近代化の過程を象徴するものであり、今もなお人々の記憶に刻まれています。

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