山村良利

山村良利（やまむら よしとし）

山村良利は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、信濃国の国衆である木曽氏の重臣として活躍しました。その生涯は、激動の時代を反映しており、武田氏との外交や、木曽氏の危機を救うなど、重要な役割を果たしました。

生い立ち

永正11年（1514年）、山村良道の子として生まれました。父の良道は、宇多源氏の流れを汲む佐々木氏または大江氏の末裔とされ、近江国山村郷から木曽谷に移り住み、木曾義昌に仕えたと伝えられています。良利は、木曾義在の娘を妻に迎え、木曽氏の重臣としての地位を確立しました。

武田氏との関係

良利は、甲斐国の武田氏との取次役を務めていました。『甲陽軍鑑』には、木曾氏が武田信玄に降った際、信玄の息女で木曽義昌に嫁いだ真竜院に付き添った付家老として、「山村新左衛門」の名前が挙げられていますが、これは誤りであると指摘されています。実際には、良利が武田氏との外交を担当していたと考えられています。元亀3年（1572年）には、武田信玄の西上作戦に際し、飛騨国を攻略。信玄から美濃国恵那郡の所領を与えられています。その後も、武田勝頼から美濃の所領について安堵状を受け取っており、武田氏との関係は深かったことがうかがえます。

木曽氏の危機と晩年

天正10年（1582年）、木曾義昌が武田勝頼に謀反を企てた際、義昌が病と称して甲斐へ行かなかったため、良利が代わりに赴きましたが、帰してもらえず、隙を見て木曽へ逃げ帰ったという逸話が残っています。この出来事は、木曽氏にとって大きな危機でしたが、良利の機転により、最悪の事態は回避されました。

武田氏滅亡後、良利は羽柴秀吉（豊臣秀吉）から徳川方への牽制を賞されています。天正18年（1590年）に木曽義昌が下総国網戸(阿知戸)へ転封された際、嫡男の山村良候と孫の山村良勝はこれに従いましたが、良利は老齢を理由に辞退し、木曽に残留しました。

慶長4年（1599年）9月6日、木曾福嶋で死去。享年86歳でした。山村良利は、激動の時代を生き抜き、木曽氏のために尽力した人物として、後世に名を残しています。

参考文献

堀田正敦 編「国立国会図書館デジタルコレクション 第627」『寛政重修諸家譜』
丸島和洋「山村良侯」柴辻俊六・平山優・黒田基樹・丸島和洋編『武田氏家臣団人名辞典』東京堂出版、2015年
丸島和洋「山村良利」柴辻俊六・平山優・黒田基樹・丸島和洋編『武田氏家臣団人名辞典』東京堂出版、2015年
西筑摩郡誌
* 木曽福島町史

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