山田春城

山田春城（やまだ の はるき）

山田春城は、平安時代初期に活躍した貴族です。明法博士として知られた山田白金の曾孫にあたり、中国系の渡来氏族である山田連の出身です。出自は低いものの、その才能と人柄で朝廷に重用されました。

生い立ちと学問

春城は平安京の右京で生まれました。曾祖父の山田白金は、律令解釈の大家として知られ、後世の法律にも大きな影響を与えた人物です。春城もその血筋を受け継ぎ、学問に励みました。弘仁15年（824年）には大学に入学し、まだ若年ながらも『晋書』の講義を聴講していたと記録されています。また、嵯峨上皇の皇子・源明の学友として選ばれ、共に諸子百家を学びました。この勉学の功績により、丹波権博士の官職を授けられました。

官吏としての活躍

承和9年（842年）に嵯峨上皇が崩御すると、春城は深く悲しみました。しかし、その才能を惜しんだ仁明天皇は、春城に校書殿に侍ることを命じ、書物の閲覧を許可し、生活のために内蔵寮の物資を与えました。その後、備後少目、備中権少目を経て、承和12年（845年）に対策に及第し、翌年には少外記に任じられました。文徳朝に入ると、仁寿元年（851年）には大嘗会にて外従五位下に叙せられました。

駿河介としての功績

仁寿2年（852年）には駿河介に任じられ、翌年には自ら希望して同国へ赴任しました。当時、駿河国では阿気大神という新しい神を祀る動きがあり、その祭祀を行う禰宜や祝が奇異な言動で国司や民衆を惑わせていました。春城が赴任すると、すぐに彼らの誤りを正し、偽りを暴いたため、妖言は収まりました。当初、春城の清廉さを嫌っていた部下や民衆も、この一件以降は彼を受け入れるようになったと言われています。

晩年

斉衡3年（856年）には従五位下に昇叙し、その後、勘解由次官、玄蕃頭を歴任しました。天安2年（858年）2月に病に倒れ、病床の中、左京亮に転じ、大学助を兼務しましたが、京職の業務をこなすことができず左京亮を罷免されました。同年6月20日、49歳で亡くなりました。最終官位は大学助従五位下です。

人物像

春城は、低い家格の出身でしたが、心が広く、道理を重んじる人物でした。小芸を好まず、物忌みや祟りといった迷信に捉われることもありませんでした。その人となりは、典型的な儒学者であったと伝えられています。

官歴

以下は『六国史』に記載されている春城の官歴です。

承和年間：丹波権博士
承和9年（842年）：備後少目
承和10年（843年）：備中権少目
承和12年（845年）：対策及第
承和13年（846年）2月11日：少外記
時期不詳：正六位上
仁寿元年（851年）11月26日：外従五位下
仁寿2年（852年）正月15日：駿河介
斉衡3年（856年）正月7日：従五位下
斉衡4年（857年）2月16日：勘解由次官、12月9日：玄蕃頭
* 天安2年（858年）2月18日：左京亮、3月19日：大学助、日付不詳：免左京亮、6月20日：卒去（大学助従五位下）

春城は、学識と清廉な人柄で、平安時代初期の朝廷で重要な役割を果たした人物でした。

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