岩亀横丁

岩亀横丁の歴史と現況

岩亀横丁（がんきよこちょう）は、神奈川県横浜市西区に位置する通りの名称であり、古い歴史を持つ地域です。この通りは、横浜港が開港した頃の安政時代にさかのぼり、当時の遊廓がこの地に設けられました。

歴史的背景

元々、港崎遊郭として知られるこの遊廓は、太田屋新田の一角に外国人の社交場として建設されました。所在地は沼地の状態でしたが、民間の5名の手によって整備が始まりました。最初の計画は1859年7月の完成を目指していましたが、実際には11月まで完成が延期されました。佐吉という名の建設者は、その功績により港崎町の名主となり、遊郭の最大の店舗を経営することになりました。

当時の遊郭の名称「岩亀楼」は、佐吉の故郷である岩槻から名付けられたものです。この場所から2キロメートルほど北西には、遊女たちが静養する寮が設けられ、その周囲が「岩亀横丁」と呼ばれるようになりました。また、寮内にあった稲荷神社は遊女たちの信仰の対象となり、現在でも岩亀稲荷として地域に残されています。

1863年には大変悲しい事件が起きました。岩亀楼の人気遊女であった喜遊が、外国人客からの身請けの申し出を断り、自ら命を絶ったのです。この出来事は、作家・有吉佐和子の戯曲『ふるあめりかに袖はぬらさじ』にも描かれています。岩亀稲荷の境内には、その関連の文が今も掲げられています。

港崎遊郭は1866年に発生した火災で全焼し、多くの遊女が命を落とす惨事が起こりました。遊郭はその後、場所を移動しながら存続しましたが、1958年の赤線廃止によって姿を消してしまいます。現在、その跡地は横浜公園となっており、岩亀楼を示す石灯籠が保存されています。

現況と地域の様子

1915年には、2代目横浜駅が高島町に設置され、多くの職人がこの地域に住み着いて活気を呈しました。周囲には三菱重工業横浜造船所もあり、当時は映画館やパチンコ店、銭湯などが立ち並び、特に労働者たちで賑わっていました。しかし、1983年に造船所が本牧と金沢区幸浦に移転することにより、地域の活気は次第に失われていきました。

現在の岩亀横丁は、横浜市西区戸部町に位置し、戸部4丁目交差点から海に向かって約300メートルの道が続いています。道沿いには、酒屋や飲食店、市民酒場などが並び、地域の住民や観光客にとって親しまれています。この通りの中ほどには岩亀稲荷があり、毎年5月25日には例祭が盛大に行われる伝統があります。

recent横浜みなとみらい21などの大規模な再開発が行われていないため、落ち着いた雰囲気が残されています。

交通アクセス

岩亀横丁には、横浜市営地下鉄ブルーラインの高島町駅と桜木町駅が近く、加えて京急本線の戸部駅からのアクセスも良好です。スムーズな交通機関の利用により、訪れやすいスポットとなっています。岩亀横丁は、歴史と現代が交差する興味深いエリアで、訪れる人々に様々な魅力を提供しています。

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