峯雲 (駆逐艦)

峯雲（みねぐも）

峯雲は、大日本帝国海軍が運用した朝潮型駆逐艦の8番艦です。一部資料では「峰雲」と表記されることもあります。

概要

峯雲は、藤永田造船所で建造され、1938年4月に竣工しました。太平洋戦争開戦時には、朝潮型駆逐艦4隻で編成された第9駆逐隊に所属し、南方作戦に参加。フィリピンや蘭印作戦で活躍しました。ミッドウェー作戦やガダルカナル島攻防戦にも参加しましたが、1943年3月、コロンバンガラ島沖で連合軍艦隊の奇襲を受け、村雨と共に撃沈されました。

艦歴

太平洋戦争以前

1936年12月14日、峯雲の艦名が与えられ、1937年3月22日に藤永田造船所で起工、同年11月4日に進水しました。1938年4月30日に竣工し、第41駆逐隊に編入されました。その後、12月15日に第三予備艦となり、横須賀海軍工廠で蒸気タービン機関の改造工事を実施しました。1939年11月15日、第41駆逐隊は第9駆逐隊と改称。1940年10月15日には鈴木保厚中佐が艦長に就任しました。

1941年4月10日、佐藤康夫大佐が第9駆逐隊司令に就任。6月23日、日向灘で駆逐艦夏潮と衝突し、艦首を損傷。さらに後続の駆逐艦黒潮に追突され、左舷艦尾も損傷しました。呉海軍工廠での約5ヶ月間の修理を経て、太平洋戦争開戦には間に合いました。

太平洋戦争緒戦

1941年12月8日の開戦時、第9駆逐隊は朝潮型4隻で編成され、第四水雷戦隊に所属。比島部隊として南方作戦に参加しました。ビガン上陸作戦やリンガエン湾上陸作戦を支援。12月31日には、別行動中の山雲が機雷で大破し戦線を離脱しました。

1942年1月からは、タラカンやバリクパパン攻略作戦に参加。2月以降は、マカッサルやジャワ島攻略作戦に協力しました。

2月下旬には、ジャワ島攻略を目指す輸送船団を護衛。スラバヤ沖海戦では、朝雲と共に連合軍艦隊と交戦。英駆逐艦エレクトラを撃沈するなどの戦果を上げました。朝雲が損傷したため、第9駆逐隊の司令駆逐艦は夏雲に交代しました。3月1日未明には、東部ジャワ上陸船団の入泊を支援。連合軍の空襲や魚雷艇による攻撃を受けましたが、哨戒や迎撃にあたりました。3月9日、オランダ軍が降伏しました。

3月下旬、峯雲はインド洋クリスマス島攻略作戦に参加。4月1日、同島周辺を哨戒中にアメリカ潜水艦シーウルフの雷撃により軽巡洋艦那珂が損傷。峯雲は那珂を護衛し、ジャワ島へ帰投しました。4月12日、夏雲と共に横須賀へ向け出発。途中で米機動部隊を追撃しましたが会敵できず、4月20日に横須賀に到着しました。

5月2日には、水上機母艦瑞穂が撃沈された際の対潜掃討に参加しました。5月15日、山雲が第9駆逐隊から除籍され、朝潮型3隻に減少。5月19日、重巡洋艦と戦艦を護衛して瀬戸内海へ移動。ミッドウェー作戦では、攻略部隊主隊に配属されました。

ミッドウェー海戦

1942年6月5-7日のミッドウェー海戦で日本軍は敗北。峯雲は、ウェーク島近海で作戦行動中の牽制部隊に編入され、基地航空部隊と連携して米機動部隊を牽制しました。6月14日、同部隊は北方部隊に編入。峯雲はアリューシャン列島方面に転戦しました。その後、米機動部隊は出現せず、7月上旬には内地に帰投しました。

ガダルカナル島の戦い

ミッドウェー作戦後、峯雲は本州南岸の敵潜掃討に参加。8月7日に米軍がガダルカナル島に上陸を開始すると、前進部隊に所属してトラック泊地に集結。8月20日、トラックを出港する際に座礁しましたが、応急修理後、油槽船を護衛して前進部隊を追いました。第二次ソロモン海戦では、損傷した水上機母艦千歳を護衛してトラック泊地に後退しました。9月下旬よりソロモン諸島に進出し、ガダルカナル島への輸送作戦に従事。10月5日には空襲を受けて損傷、内地で修理を行いました。

沈没

1943年2月1日、上杉義男中佐が艦長に就任。2月12日に修理が完了し、輸送船武庫丸を護衛してトラック泊地に到着。2月27日、村雨と共に南東方面部隊に編入。2月28日、トラックを出撃し、3月4日夕、ラバウルを出発。3月5日夜、コロンバンガラ島クラ湾で揚陸作戦中に、レーダーを装備した連合軍艦隊の奇襲を受けました。峯雲は被弾炎上後、魚雷が命中し、艦尾から沈没。乗組員255名中、210名が戦死しました。

4月1日、峯雲は駆逐艦籍から除籍されました。その艦名は、海上自衛隊の護衛艦「みねぐも」に継承されました。

歴代艦長

艤装員長
山代勝守少佐/中佐：1938年1月20日 - 1938年4月30日
駆逐艦長
山代勝守中佐：1938年4月30日 - 1938年11月15日
山田鐵夫少佐/中佐：1938年11月15日 - 1940年10月15日
鈴木保厚中佐：1940年10月15日 - 1943年1月25日
上杉義男中佐：1943年2月1日 - 1943年3月5日 (戦死。同日付任海軍大佐)

参考文献

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国立国会図書館デジタルコレクション
アジア歴史資料センター（公式）（防衛省防衛研究所）