川上村 (奈良県)

奈良県川上村：吉野杉と豊かな自然の里

奈良県南東部、大峰山脈と台高山脈に抱かれた川上村は、吉野川源流域に位置する静かな山里です。古くからの吉野林業の中心地として知られ、豊かな自然と歴史、そして温泉が調和した独特の景観が魅力です。

自然環境

川上村は、西に大峰山脈、東に台高山脈が連なる山間部に位置し、吉野川（紀の川）の源流域にあたります。大台ヶ原山の北西側に位置し、村内には大迫ダム、大滝ダムが建設され、水資源の管理が行われています。2016年には、水源地を守る大切さを啓発するため、「源流の日」（11月16日）が制定されました。

この地域は自然の宝庫であり、天神窟、水晶の窟、不動窟などの鍾乳洞が存在します。また、村の南東部には、三之公川に湧き出る温泉があり、かすかに硫化水素の香りが漂います。入之波（山鳩湯）や迫（湯盛温泉）など、30度以上の源泉温度を誇る温泉が点在し、山鳩湯は茶色く濁った39度の湯が特徴です。

歴史と文化

大滝ダムに水没した宮の平遺跡など、縄文時代の遺跡が発見されていることから、川上村は古くから人が住んでいたことがわかります。平安時代には、惟喬親王がこの地の人々に木地師の技術を伝えたという伝承も残されています。

室町時代には、後南朝の自天王（北山宮）と忠義王（河野宮）が本拠地とした三之公（神之谷）が重要な拠点となり、長禄の変の舞台にもなりました。この歴史をしのび、毎年2月5日には自天王が用いたとされる兜などを拝する「朝拝式」が金剛寺で行われています。500年以上続く伝統行事です。

行政と経済

川上村は、明治22年（1889年）の町村制施行により、複数の村が合併して誕生しました。現在も、独自の村政運営を行い、地域活性化に努めています。

経済は、古くから続く吉野林業が中心です。農地は少なく、自家消費用の小規模農業が行われる程度です。金融機関としては、南都銀行川上支店とJAならけん川上支店が村内にあります。郵便サービスは、大滝郵便局、迫郵便局、柏木郵便局が担っています。

教育と交通

教育面では、少子化対策として、2024年度に川上村立かわかみ源流学園（義務教育学校）が開校しました。これは、旧やまぶき幼稚園、旧川上村立川上小学校、旧川上村立川上中学校を統合したものです。

交通面では、村内を鉄道路線は走っておらず、最寄りの駅は大和上市駅となります。村内には、R169ゆうゆうバス、やまぶきバス、スマイルバスなどのコミュニティバスが運行され、公共交通機関の利用も可能です。国道169号も通っており、自動車でのアクセスもできます。近年は道路整備が進み、アクセスが改善されています。

観光

川上村には、三ノ公川トガサワラ原始林などの天然記念物や、歴史的な神社仏閣、温泉、ダムなどの観光スポットがあります。入之波温泉や湯盛温泉ホテル杉の湯は、自然に囲まれた中で静養できる人気のスポットです。大滝ダムや大迫ダムは、防災学習にも役立つ施設となっています。

その他にも、あきつの小野スポーツ公園や白川渡オートキャンプ場などのレクリエーション施設もあり、自然の中で楽しめる様々なアクティビティが用意されています。

まとめ

川上村は、豊かな自然と歴史、そして温泉が調和した魅力的な村です。吉野杉の産地としてだけでなく、静かな山里でのんびりとした時間を過ごしたい方、自然の中でアクティブに過ごしたい方、歴史に触れたい方など、様々なニーズに応えることができる場所です。一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

もう一度検索