川上洋司

川上洋司

川上洋司（かわかみ ひろし、1951年 - ）は、日本の声楽家、テノール歌手であり、東京藝術大学の名誉教授を務めています。山梨県甲府市出身。

来歴

1974年に東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業後、1978年に同大学大学院修士課程オペラ専攻を修了。その後、1982年には文化庁オペラ研修所第3期を修了しました。声楽を渡邊高之助、栗林義信、高丈二、L・グワリーニ、P・M・フェッラーロに師事し、研鑽を積みました。

1984年から1987年までイタリア・ミラノに留学し、更なる実力向上に励みました。留学中の1985年と1986年には、〈ヴェルディの声〉国際コンクールに入選。1986年6月にはトーディ・ダル・モンテ国際声楽コンクールでマリオ・デル・モナコ賞を受賞、同年10月にはベッリーニ国際声楽コンクールで第3位（1位なし）に入賞するなど、国際的な評価を確立しました。

1984年にはフィレンツェで「ラ・ボエーム」のロドルフォ役でオペラデビューを果たし、その後もミラノでのコンサート形式「ラ・ボエーム」やヴィラフランカでの「仮面舞踏会」など、数々のオペラで主役を演じました。1984年から1987年の間にミラノを中心に30回以上のコンサートに出演し、ヨーロッパの聴衆を魅了しました。

1987年7月には、ヴェルディの生地ブッセートで行われた夏のオペラ・フェスティバルに参加。カルロ・ベルゴンツィの代役として、「運命の力」のドン・アルヴァーロ役を演じ、その実力を高く評価されました。帰国後は、1988年に二期会公演「カルメン」でドン・ホセ役、1989年には「運命の力」ドン・アルヴァーロ役、「椿姫」アルフレード役、1990年には「お蝶夫人」ピンカートン役など、主要な役を立て続けに演じ、日本国内での人気と評価を確固たるものにしました。

1992年3月には、二期会初の原語上演となった「カルメン」でもドン・ホセ役で出演。1995年には日伯修好百年記念「夕鶴」ブラジル公演を開催するなど、国際的な活動も積極的に行いました。1997年2月には二期会公演「カヴァレリア・ルスティカーナ」でトゥリッド役を演じ、レパートリーをさらに拡大しました。1998年9月には新国立劇場と二期会共催公演「アラベッラ」でマッテオ役、2000年3月には新国立劇場と二期会共催公演「沈黙」に出演しています。

その他、「イドメネオ」、「コシ・ファン・トゥッテ」、「ポッペーアの戴冠」、「ノルマ」、「トスカ」、「アイーダ」、「オルフェオとエウリディーチェ」、「サロメ」、「スペードの女王」など、数多くのオペラに出演。コンサートでは、1989年と1990年に「NHKニューイヤーオペラコンサート」に出演。NHK交響楽団をはじめとする主要オーケストラと、バッハ「ロ短調ミサ」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」、「第九」、ヴェルディ「レクイエム」、ファリャ「はかなき人生」、マーラー「千人の交響曲」、「大地の歌」、ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」、ブルックナー「テ・デウム」、ロッシーニ「小荘厳ミサ」、「スターバト・マーテル」など、数多くの作品を共演しています。

ソロ・コンサートでも活躍しており、2004年8月には二期会ゴールデンコンサートに木下美穂子とのデュオで出演しています。

現在、東京藝術大学教授、東京音楽大学客員教授、二期会会員、日本声楽アカデミー会員として、後進の育成にも力を注いでいます。

受賞歴

二期会オペラスタジオ修了
1986年：トーティ・ダル・モンテ国際声楽コンクール マリオ・デル・モナコ賞
1986年：ベッリーニ国際声楽コンクール 第3位（1位なし）
1993年：野口賞（芸術文化部門）
* 1995年：前田晃 文化賞

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