渡邊高之助

渡邊高之助（わたなべ たかのすけ）は、1919年3月3日に東京府四谷区で生まれ、2003年7月1日に84歳でこの世を去った、日本の声楽家（テノール）であり、音楽教育者です。新字体では渡辺高之助と表記されることもあります。

経歴

東京音楽学校（現在の東京藝術大学音楽学部）を1941年に卒業。声楽を木下保に師事しました。卒業後は、東京放送合唱団などで活躍し、1952年の二期会創立時からメンバーとして参加しました。オペラ歌手としては、二期会をはじめ、グルリット・オペラ協会、長門美保歌劇団など、数々のオペラ公演に出演し、昭和音楽大学オペラ研究所の記録によれば、その出演回数は58回にも及びます。

教育者としては、1958年に東京芸術大学の助[[教授]]に就任し、1960年には声楽科主任、1969年には教授へと昇進しました。1975年から1982年まで同大学附属音楽高校の校長を、1982年から1986年までは音楽学部長を務めました。1986年に東京芸術大学の名誉[[教授]]となり、その後、二期会オペラスタジオの所長も務めました。1992年には沖縄県立芸術大学の音楽部長、1994年には同大学大学院音楽芸術研究科長に就任し、後に同大学の名誉[[教授]]となりました。

渡邊の門下生たちは「ぐるーぷ・なーべ」というグループを組織し、2019年には「第93回ぐるーぷ・なーべ演奏会 - 我らが師、渡邊高之助先生への憧憬 - 生誕100年によせて」という演奏会を開催しました。彼の指導を受けた門下生は多数おり、高丈二、田口興輔、小林一男、川上洋司、星洋二、高井治、富浦元公、小川明子、大門康彦、辻秀幸、砂崎香子、箕輪健、吉田浩之、佐藤ひさら、板橋勝、成田勝美、上野律子、福成紀美子、秦貴美子、伴真純、枝川一也、末廣正巳、市原多朗、三林輝夫、高橋啓三、川村祐子、渡辺葉子、坂本弘國、浦田隆司、竹本絵里子、大島博、岡田三千枝、宮崎千恵、太刀川昭、松尾健市、川本愛子、桑原英子、岩本久美、篠崎義昭など、多くの優れた音楽家が育っています。

渡邊は元二期会会員であり、日本演奏連盟の会員でもありました。また、第6回日本歌曲コンクールの審査員も務めました。2003年7月1日、胃がんのため東京都世田谷区の病院で逝去しました。

渡邊の功績を称え、二期会オペラ研修所本科修了生の中で最も優秀な者に贈られる「渡邊高之助賞」が設けられています。

受賞歴

1953年：毎日音楽賞（伊庭賞）
1959年：大阪芸術祭賞
1989年：勲二等瑞宝章

著書・監修

『標準版 リズムの練習』楽譜 渡辺高之助：監修、木村和子：著（2002年3月13日、ケイ・エム・ピー、ISBN 978-4773214130）
『標準版 リズムの練習』楽譜 渡辺高之助：監修、木村和子：著（2018年2月19日、ケイ・エム・ピー、ISBN 978-4773243543）
『標準版 ハ音記号による新曲視唱』楽譜 渡辺高之助：監修、木村和子・長恭子：著（2002年3月13日、ケイ・エム・ピー、ISBN 978-4773214147）
『標準版 ハ音記号による新曲視唱』楽譜 渡辺高之助：監修、木村和子・長恭子：著（2017年3月7日、ケイ・エム・ピー、ISBN 978-4773242492）

作曲作品

『“ダ”』（北原白秋詞）

主なディスコグラフィー

獨唱『平和を讃える三つの歌』燔祭の 永井隆（作詞）、山田耕筰（作曲）渡邊高之助（テナー）、コロムビア女聲合唱團、コロムビアオーケストラ（コロムビア、商品番号：B275_2213427）
信時潔：交声曲『海道東征』北原白秋（作詞）、信時潔（作曲）、朝倉春子、山内秀子（ソプラノ）、千葉静子（アルト）、藤井典明、渡辺高之助（テノール）、中山悌一（バリトン）、栗本正（バリトン・バス）、木下保（指揮）、東京音楽学校管弦楽部・合唱団、録音：1941年
『渡辺高之助の芸術、その心【ぐるーぷ・なーべ第20回演奏会を記念して】』
『山田耕筰の遺産6 歌曲編6』CD（1996年4月20日、Columbia COCA-13176）
『山田耕筰名作歌曲集』（オムニバス）CD（1987年12月25日、EMIミュージック・ジャパン）
『日本SP名盤復刻選集2 (日本語版)』CD（2007年12月6日、ローム･ミュージック･ファンデーション ANOC6056A）
『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』（2008年度（平成20年度）文化庁芸術祭大賞受賞）オムニバス（日本伝統文化振興財団 VZCC-85/90）
『二期会50周年記念CD』（オムニバス）（2002年4月10日、ビクターエンタテインメント）
* 『オルフ：カルミナ・ブラーナ（日本初演）』（NHK交響楽団／エッシュバッハー）（N響アーカイブシリーズ）

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